飯田哲也の引退に「もったいない」と八重樫幸雄が思った理由。「あと4~5年は現役を続けられた」 (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

【何から何まで好対照な飯田と土橋】

――性格的にも正反対だと言っていましたね。

八重樫 正反対ですね。土橋は超寡黙でほとんど笑ったところを見たことがないです。遠征先で一緒に食事をした時もそうだったけど、ユニフォームを脱いだ時でも、先輩の前では決して乱れる感じはないですから。とっつきにくいわけじゃなくて、上下関係をきちんと意識している感じが伝わってきましたね。

―― 一方の飯田さんは?

八重樫 先輩であろうがベテランであろうが、臆することがなくフランクに接することができる。あの時代の野球選手には珍しいタイプです。無礼な態度だったわけではないけど、僕らがプロの世界に入った頃だったら、先輩からガツンと言われていたでしょう。

――若松さんも、八重樫さんもガツンとは言わなかったんですか?

八重樫 どうしてもチャラチャラしているように見えるから、「きちんと言わなくちゃな」とは思うんです。でも、いざ注意をしようとしても、あの明るい感じで近寄られると叱る気が失せちゃうんですよ(笑)。憎めないタイプというのか、得な性格ですよね。

――そんな飯田さんと土橋さんの相性はどうだったんですか?

八重樫 飯田も土橋も、そもそも人とつるむ感じじゃなかったから、2人で一緒にいるところは見たことがないです。飯田はほとんど飲まないし、食事に行ってもすぐに出てしまって、ひとりでパチンコをしていたようですから(笑)。たぶん、土橋から見たら「何も苦労しないで試合に出られてうらやましいな」と感じていたところもあるでしょうね。

――確かに猛練習でレギュラーの座をつかみ取った土橋さんからすれば、そう思うのも当然のことでしょうね。

八重樫 もちろん、お互いの実力は認めていたとは思うし、努力でレギュラーをつかんだ土橋のことは尊敬していたとは思うけど、飯田にとって土橋は「自分とは全然違うタイプだな」という思いもあったんじゃないのかな?

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