ヤクルトが3連勝でオリックスと明暗を分けた「継投」。配球や1人目のリリーフの重要性を建山義紀が徹底解説

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Kyodo News

 ヤクルトの2勝1敗で迎えた日本シリーズ第4戦が11月24日、東京ドームで行われた。ヤクルトは2回裏、サンタナの2試合連続となるソロ本塁打で先制。オリックスは6回表、相手のミスもあって追いついたが、直後の6回裏、先発・山﨑颯一郎の後を受けた増井浩俊、比嘉幹貴が捕まる。ヤクルトはオスナのセンター前タイムリーで1点を勝ち越すと、先発の石川雅規から石山泰稚、清水昇、マクガフとつないで逃げ切った。僅差の試合でポイントはどこにあったのか。日本ハム時代の2006年に中継ぎ投手として日本一に貢献した建山義紀氏に聞いた。

第3戦に続き好投したヤクルト・石山泰稚第3戦に続き好投したヤクルト・石山泰稚この記事に関連する写真を見る 今シリーズは両チームともに接戦のいい試合をずっとしていて、第4戦もそうした展開になりそうだなと思いながら見ていました。

 4戦目なので、先発投手はローテーションの中心で回っているピッチャーではありません。継投勝負というところで、まずはオリックスが山﨑投手から増井投手にスイッチ。対してスワローズは、石川投手から石山投手に交代。あとを受けた両ベテランのピッチングが明暗を分けました。

 日本シリーズのように独特の雰囲気の試合は、チームとしてもベテランに頼りたくなるところです。そのなかで増井投手がマウンドに上がったのは、1対1の同点になった6回裏でした。

 山田(哲人)選手からというところで、すごく慎重さが出たなか、ボール、ボールという入りになり、自分のピッチングを非常に苦しめました。山田選手を四球で歩かせたあとはうまくダブルプレーでしのぎましたが、続くサンタナ選手は第3戦、第4戦の1打席目と2戦連続ホームランが出ていて神経を使うバッターです。ここでもボール、ボールで入って、非常に自分のピッチングを苦しめた結果、フォアボール。続く中村(悠平)選手にライト前を打たれて、オリックスベンチはたまらず比嘉(幹貴)投手にスイッチしました。

 流れとしては完全にスワローズで、「よし、いけるぞ」となっていたと思います。逆にピッチャーとすれば、経験のある投手ほど、その場の空気感を受け止めやすいものです。比嘉投手は38歳のベテランで、ちょっとまずい形であとを任されたという気持ちがあったと思います。そうした心理がピッチングに多少影響したかもしれません。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る