「ネクスト・ラオウ」は誰だ? プロ球界に眠る未完の大砲候補たち (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

 だが、今のところルーキーイヤーに記録した2本塁打が細川のキャリアハイになっている。今季はコロナ禍の影響でタイラー・オースティン、ネフタリ・ソトの主砲コンビの来日が遅れるチーム事情がありながら、開幕時に一軍スタメンをつかめなかった点にすべてが凝縮されている。

 今季の一軍出場は37試合に終わり、打率.154、0本塁打。それでも、ファームでは56試合で16本塁打というハイペースで一発を量産した。まだ23歳と若いだけに、見切りをつけるのは早すぎる。いずれ同年齢の牧秀悟と中軸を担えたら、チームにとって大きなプラスになる。だが、細川に開花の兆しが見えないとなれば、DeNAは来年以降のドラフトで次なる和製大砲を獲得せざるを得ないだろう。

 岩見雅紀(楽天)も高い期待を受けて入団しながら、入団4年間でわずか1本塁打と結果が出ていない状況が続く。

 大学4年時に1年間でリーグ通算12本塁打という東京六大学新記録を樹立した巨漢スラッガーも、今はまるで休火山のよう。一時はバットを短く握る打撃スタイルを模索するなど、試行錯誤が続いている。

 今季はファームで74試合、打率259、8本塁打、25打点と突出した成績は収められていない。認められて意気に感じる性格だけに、ふとしたきっかけで大化けする可能性はある。慶應義塾大でも下級生時はAチームすら入れず、くすぶっていたところ新監督に就任した大久保秀昭監督(現ENEOS監督)に見出された過去もある。

 また、楽天にとって生え抜きの和製大砲育成は宿願になっている。今年のドラフト会議で吉野創士(昌平)をサプライズ1位指名したのも、その意欲の表れ。裏を返せば、それだけ期待をかけてドラフト指名した選手が大成していない証とも言える。現時点では岩見のほかにも、内田靖人も殻を破れないひとり。2018年に12本塁打を放ってきっかけをつかんだかに見えたが、その後は低迷が続いている。

 来季で岩見は28歳、内田は27歳と若手とは言えない年齢になるだけに、いよいよ正念場だ。

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