ヤクルト高津監督がリーグ制覇へ勇気が必要だった決断。勝つために休ませたマネジメント術とCS突破へのキーワードも語った

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 ヤクルトが6年ぶりにセ・リーグを制した試合後の記者会見で、青木宣親に「優勝へのターニングポイントはあったか」という質問が飛んだ。

「僕もそのことについて考えていたんですけど......シーズンをとおして、戦力が常に整った状態で戦えたことだと思います。離脱した選手もいましたが、今までと比べれば少なかったですよね」

 マイクをとった青木はそう答えると、少し間を置いて続けた。

「そこはやっぱり監督のマネジメントだったと思います。『練習をやりすぎないように』と常に言っていて、そこはすごいことだと思いました」

 それから数日後、クライマックス・シリーズ(CS)を目前に控えたある日、神宮球場で行なわれた全体練習前に高津臣吾監督に話を聞くことができた。

セ・リーグ王者としてCSファイナルに挑むヤクルト高津臣吾監督セ・リーグ王者としてCSファイナルに挑むヤクルト高津臣吾監督この記事に関連する写真を見る── 今年2月、チームは2年連続最下位からの脱出を目指し、沖縄でキャンプをスタートしましたが、序盤は3勤1休のスケジュールでした。

「たとえば、アメリカのキャンプは午前中に練習が終わると、午後からは家族との時間だったりします。メジャーのキャンプに初めて参加した時(2004年/ホワイトソックス)に、練習量の少なさにすごく不安になったことがありました。

 その代わり休みはなく、そのままオープン戦、公式戦と続いていくのですが、身体的にまったく問題がなかった。日本の場合は休日なしでキャンプをすることは難しく、だったら短いスパンで休暇を与えて、そのなかで密度の濃い練習ができれば......という発想になったんです」

── キャンプの打ち上げの日に「今回のメニューと、厳しい練習のふたつを一緒に追うことはできなかった」と話されていました。

「キャンプでは、勝つための準備をどのようにするのかがとても大事です。今のチームで勝つには、シーズンをとおして今の戦力を落とすわけにはいかない。結果として、練習が緩いというか、少ないというか、ケガをさせないという方法にたどり着きました。理想はみんなが高いレベルで競争して、強いチームをつくり上げることかもしれませんが、お世辞にもそういった状況ではなかったですからね」

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