阪神と巨人の急失速はなぜだったのか。高木豊が両監督の采配、CSに向けたキーマンを語った (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

「そこは油断というよりも、坂本への配慮ですよね。あれだけの実績を残してきて、ショートでずっと試合に出ていて、東京五輪にも出て......。指揮官なら、休ませながら使わないとワンシーズン持たないと誰もが考えるでしょう。僕も経験がありますけど、ショートは精神的にも肉体的にも負担が大きいですから。あの阪神戦は、5回終了時に6点のリードがあれば普通は大丈夫ですけど、交代後に若手がエラーをして負けたので『采配ミスなのでは?』と言われても仕方ないですね」

 8月下旬には、昨季のパ・リーグ打点王・中田翔が無償トレードで電撃加入。原辰徳監督はすぐさま中田を起用し、不振に陥ってもしばらく使い続けた。チームを勢いづける起爆剤としても期待されたが、34試合に出場し、打率.154、3本塁打、7打点という成績に終わった。

「完全に戦力として考えて獲ったと思いますし、ああいう事件があったことを結果で払拭してもらいたいという思いもあったでしょう。ただ、一軍での起用は時期尚早でしたね。早すぎて僕も驚きました。今季は、日本ハムでも打率が1割台。それが巨人に来たからといって3割打てるわけではありませんから、もう一度体を作らせてあげたほうが本人のためになったはず。事件のことを考えても、もうちょっと焦らずに準備するべきだったと思います」

 悔しい思いをした阪神と巨人だが、日本シリーズ進出の可能性はもちろん残っている。11月6日から、甲子園で行なわれるクライマックスシリーズ・ファーストステージで相まみえるが、高木はまず巨人のキーマンとして菅野を挙げる。

「1戦目に先発が予定されている菅野は、今季は不本意な成績(6勝7敗)だったと思いますが、ポイントとなるような試合で登板した際には、それほど大きく崩れたケースはなかった印象です。状態も上がってきていると思うので、試合は作れるはず。逆に、シーズン終盤の阪神の打線の状態で、菅野を打てるかどうかが不安ですね」

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