ソフトバンクが「今宮健太の後継者」を指名しなかったワケ。答えは2023年のドラフトにあり⁉ (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

2023年のドラフト候補、日体大の松浦佑星(写真左)と横浜高校の緒方漣2023年のドラフト候補、日体大の松浦佑星(写真左)と横浜高校の緒方漣この記事に関連する写真を見る しかも緒方は、無類の野球好き、練習熱心と聞いている。フィジカルだけじゃなく、体の隅々まで野球が浸透している、まさに野球をするために生まれてきた男だ。これからどんな選手に成長していくのか、楽しみでならない。

 そしてもうひとりが、日本体育大の松浦佑星(2年)。富島高校(宮崎)3年時に夏の甲子園に出場したが、ケガの影響もあって本領発揮とはならなかった。だが、左打席から一塁到達まで3秒台という快足が強烈な印象として残っている。

 大学入学後は、早くもレギュラー遊撃手としてリーグ戦に出場。今季は緒方同様「1番・ショート」としてチームのキーマンになっている。

 松浦がショートを守っていると、ダイヤモンドが小さく見えて仕方がない。それは打球を追うスピードの速さと鉄砲肩のせいだ。三遊間の深い位置からの一塁送球は、多くの遊撃手がワンバウンドで送球するアマチュア球界だが、松浦はダイレクトスローで一塁へ送球して刺してしまう。この能力は間違いなく希少価値だ。

 打っても、見えなくなるほど高々と上がる内野フライ。広島の鈴木誠也が二松学舎大付の頃に「こんな打球をよく打っていたなぁ」と思い出す。

 現状、ホームランを量産するタイプではないが、スイングもスローイングも全身の力を一気に爆発させる"瞬発力"が抜群の選手だ。

 こういう選手がプロの食育とトレーニングで筋肉量を増大させた時の変わり身は、たとえば浅村栄斗(楽天)、栗原陵矢(ソフトバンク)、山田哲人(ヤクルト)などが好例だ。

「ひと口に言って、モノが違いますね」

 松浦について、そう最大級の評価をしたのは、日本体育大の辻孟彦コーチだ。辻コーチは中日で3年間プレーした経験があり、プロの遊撃手のすごさを実感しているだけに、この言葉には説得力があった。

 名人、名手の後釜ほど、ファンにとって気がかりなことはない。ただ、緒方も松浦も来年ではなく、2023年のドラフト候補である。今年のドラフトであえて今宮の後継者を指名しなかったのは、このふたりのうちどちらかを狙っているからだと思えてならなかった。はたして2年後、ソフトバンクが狙うのは......その動向から目が離せない。

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