ヤクルト真中満監督の勘違いドラフトの裏側。フロント陣は「髙山俊に連絡だ!」から大爆笑

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

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2016年のセ・リーグファンミーティングに出席した、阪神の髙山俊と真中満監督(当時)2016年のセ・リーグファンミーティングに出席した、阪神の髙山俊と真中満監督(当時)この記事に関連する写真を見る【青木宣親との激しいレギュラー争い】

――前回に続いて、真中満さんについてお聞きしていきます。"野村黄金時代"のヤクルトの名センターだった飯田哲也さんからレギュラーを奪ったものの、ベテランになってからは青木宣親選手が加入。真中さんの現役生活はレギュラー奪取の挑戦でもありましたね。

八重樫 外野手は、レギュラー争いが厳しくなりますからね。青木が入団してきた2004(平成16)年、当時の若松(勉)監督はルーキーの青木を使いたがったんです。オープン戦の時もずっと彼を起用するんだけど、まだ当時の青木はプロのレギュラーのベルじゃなかったんですよね。

――青木選手がブレイクするのは、翌2005年のことでしたからね。

八重樫 結局、青木の1年目はずっとファームに置いて、そこで徹底的に鍛え上げることになるんだけど、さっきも言ったように若松さんは真中よりも青木を使いたかった。新監督になると、自分が目をかけた新しい選手を起用したくなるのはよくあることですからね。それに、若松さんは真中のような明るいタイプの選手は苦手なんです(笑)。青木のように黙々と練習するタイプが好きなんですよ。

――ベテランになってからは、今季の川端慎吾選手のように、「代打の切り札」として大活躍されました。八重樫さんも現役晩年は代打で結果を残しましたが、真中さんの代打適性はどうご覧になっていますか?

八重樫 前回も話したけど、真中の場合は練習にしても試合にしても、一気に集中してプレーするタイプなんです。だから一発で決める、一球で決める代打は、真中に向いていたと思います。代打で大切なのは積極性。たとえボール気味であっても、初球からどんどんスイングしていく積極性が求められます。それによって緊張も体もほぐれますから。

――そうなると、真中さんが持つ元来の積極性、短期集中タイプというのは、まさに代打向きだったんですね。

八重樫 代打というのは相手バッテリーの配球を読んだり、試合の流れをつかんだり、ある程度の経験がモノを言う部分もあるんです。レギュラー経験者ならその点はかなり長けている。加えて、真中はボールをじっくりと引きつけてから手元で打てるから、追い込まれても粘ることができる。そういうタイプの選手は代打適性があると言えますね。

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