松坂大輔の元女房役・細川亨が驚愕したこと「勝負師としてメンタルがずば抜けていた」

  • 広尾晃●文 text by Hiroo Koh
  • photo by Kyodo News

 NPBから独立リーグに移った野球人は、環境の変化に驚くことが多いのだが、細川はどう感じたのだろうか。

「お客は少なかったですが、環境にショックを受けることはなかったですね。野球人口が減っているのが原因かなと......ただ、独立リーグでやるのも勉強だなと思いました」

 今シーズンの火の国サラマンダーズの対戦成績はこれだ。

大分B−リングス戦 23勝9敗
四国アイランドリーグplus 6勝0敗
琉球ブルーオーシャンズ 5勝3敗1分
ソフトバンク三軍 1勝3敗
通算 35勝15敗1分

 新球団とは思えないほどの強さを見せた。

「田中さんが熊本ゴールデンラークス時代からすばらしい人材を集めてくれて、つくってくれたチーム。ソフトバンク三軍に勝つことに燃えていました」

 ベースとなるチームがあったことは大きいが、それにしてもなぜこれだけの成績を残せたのだろうか。

「練習の質だと思います。キャンプの時に『自分はこういう人間で、こういう口調でしかモノが言えない』と言いました。そこまで厳しく野球をやったことがない選手に、自分が経験したことを伝えたいと思ってハードなスケジュールを科したのですが、ついてきてくれた。朝から18時過ぎまでやっていましたからね。それだけ練習をできる子がいたということです」

 そして優秀なコーチの存在も大きかったと、細川は言う。

「野手は吉村裕基、投手は馬原孝浩、守備は松岡功祐の各コーチに、基本は任せていました。シーズン前はできなかったことができるようになった選手もいましたし、本当に成長してくれたと思います。今の若い子はSNSやYouTubeで情報だけはいっぱい持っていますが、どんなに才能があっても練習しなかったり、練習の仕方を知らなかったりするので、そこをコーチたちがしっかりフォローしてくれました。練習できることは可能性を高めてくれるので、このチームは強くなるなという予感はありました」

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