ドラフトは「外れ1位」でも実は大当たり。過去15年で活躍している選手たち (3ページ目)

  • 津金壱郎●文 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Kyodo News

 ヤクルトは外れ1位が戦力になるケースが他球団より比較的多い気がする。裏を返せば競合覚悟で1位指名に臨むからだが、セットアッパーの清水昇もそうしたひとり。

 2018年ドラフトで根尾昂(大阪桐蔭高→中日)→上茶谷大河(東洋大→DeNA)の『外れの外れ1位』で國學院大から入団。即戦力と期待された1年目は鳴かず飛ばずだったが、2年目の昨季は最優秀中継ぎのタイトルを獲得。今季もリーグ最多登板で首位を走るチームに大きく貢献している。

 ちなみにヤクルトのブルペン陣では、序盤戦に躍動した近藤弘樹も外れ1位である。岡山商大時代に最速152キロで注目された右腕は、2017年ドラフトで村上を外した楽天のドラ1だ。

 プロ1年目から一軍登板を経験したものの、3年目を終えた昨年かぎりで戦力外通告となった。その後ヤクルトに拾われ、春季キャンプ、オープン戦で結果を残して開幕一軍入り。5月下旬に右肩肉離れで戦列を離れるまでに放った煌めきは、「外れでもドラ1」らしいものだった。

 過去の外れ1位投手を振り返ると、その後生粋の1位指名をしのぐような輝きを放つケースも少なくない。2012年ドラフトで東浜巨(亜細亜大→ソフトバンク)を逃して獲得した増田達至(NTT西日本→西武)は、その後リリーバーとして活躍。2014年ドラフトで有原航平(早稲田大→日本ハム)の外れ1位で獲得した山崎康晃(亜細亜大→DeNA)も、1年目からクローザーとして圧倒的な存在感を放った。

 近年では、2019年ドラフトの外れ1位投手たちが活躍している。

 2019年ドラフトでは、3人の高校生に人気が集中した。夏の甲子園準優勝投手の星稜高・奥川恭伸(ヤクルト)と、高3のセンバツ甲子園で優勝した東邦の野手・石川昴弥(中日)に、それぞれ3球団が1位指名。大船渡高の160キロ右腕・佐々木朗希(ロッテ)には4球団が1位指名した。

 今年ブレイク中のオリックス2年目左腕・宮城大弥は、まさに2019年ドラフトの『外れ外れ1位』。石川のクジに外れたオリックスは、次いでJFE西日本の左腕・河野竜生に入札するも再びくじを外し、3度目の入札で獲得したのが興南高の宮城だった。

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