ヤクルト真中満の「軸回転打法」を八重樫幸雄が解説。独特の技術で「絶対に教えてもできない」 (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

【どんなに騒いでいても憎めない愛すべき男】

――先ほどの話に戻りますけど、大学を出たばかりのルーキーが、当時大ベテランだった八重樫さんや、杉浦享さんがいるクラブハウスで大声でずっとしゃべっていて、「うるせえな」って思ったりしなかったんですか?

八重樫 いやいや、そこはアイツの持ち前のキャラクターのおかげですね。ただうるさいだけじゃなくて、真中はいつも笑いながらしゃべっていた。そうすると、「うるせぇな」というよりも、「何がそんなに楽しいんだろ?」って気になるんです。だから腹が立つというよりは、「楽しそうでいいな」という感じなんだよ(笑)。

――真中さんにはこれまで何度もインタビューしていますが、確かにいつも楽しそうにお話してくれます(笑)。

八重樫 それは彼の長所ですよね。クラブハウスでは僕のロッカーと彼のロッカーはかなり離れていたんだけど、僕のところまで楽しさが伝わってくる感じだったから。さすがに僕の近くだったら、そこまで騒いだりはしなかったと思うけど、ある程度離れていたので僕も別に気にならなかった。「楽しそうでうらやましいな」って感じだけでした。

――愛嬌があって、どこか憎めないタイプの人って、必ずどこにでもいますよね。

八重樫 そうだね。真中は典型的なそういうタイプでした。だから、まさか彼がのちに監督を務めるとは思わなかったけど(笑)。

――1993年限りで八重樫さんは現役を引退。その後、ファームの指導者になります。この頃、真中さんとの接点はありましたか?

八重樫 あんまりないんだけど、一度彼が......ヘルニアかな、腰を痛めた時はずっとファームで一緒でした。あ、そういえば、横須賀でベイスターズのファームと試合があった時に真中がいたんです。腰の調子もよくなって動けるようになったんで、「満ちゃん、今日はマンツーマンしようか」と言って、セカンドの位置で彼にノックをしたんです。20分くらいかなぁ。あの時は、気を抜かないで最後までやりましたよ。長くじっくりやるのが苦手なタイプだったけど、僕につかまったので逃げられなかったんだろうね(笑)。

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