ドラフト目玉の森木大智と9歳差。事実上の「引退宣告」を乗り越え指名を待つ"もうひとりの高知の剛腕" (4ページ目)

  • 寺下友徳●取材・文 text by Terashita Tomonori
  • Photo by Terashita Tomonori

【2022年の舞台を決める日へ】 

「後期優勝の瞬間は人生で初めての優勝投手で、今までで一番うれしい優勝でした。(優勝を決めた試合で)福岡ソフトバンクホークス3軍相手に冷静に投げられて、吉田監督にはじめて褒められました」

 うれしそうに大願成就を語る平間。では、「まだまだ野球で成長したい」と話す彼が日本最高峰の舞台に到達した時、目指すものとはなんだろうか。

「『平間はいいけど、年齢がねぇ』と言われるのはわかりますし、仕方ないと思いますが、今年指名していただけるのであればこのスタイルをもっと極めていって、チームの日本一のためにどんな場面でも投げたい。自分のやれることをすべてやって、胴上げ投手になりたいです」

 インタビューから数日後の9月25日、年間総合優勝を決めるトリドール杯チャンピオンシップ第2戦。平間自身は4点ビハインドでの最終回マウンドを三者凡退、カーブとフォークを決め球にした2奪三振で締めたが、チームは前期優勝の香川オリーブガイナーズに2連敗で敗れ、悲願の総合優勝はならなかった。ただ、平間の背中は試合後、感動で打ち震えていた。

「負けたことに悔いは残っていますけど、『ピッチャー・平間』とアナウンスがあった時、たくさんのお客さんが拍手を送ってくれた。お客さんに僕の気持ちを乗せていただいたし、むちゃくちゃ感動しました。一生の思い出になりますし、僕はまだまだ投げ続けたいと思いました」

 待ち望んでいたNPB球団からの調査書も2年連続で届いた。2021年10月11日。ドラフト会議目玉の森木大智(高知高3年)とは9歳違いの27歳になって、ひと伸びを遂げた"もうひとりの高知の剛腕"平間凜太郎は、2022年に自分が躍動する舞台を決めるドラフト会議を、2年間自分を育ててくれた高知の地で待つ。

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