巨人のドラフトの課題は5年後のチームビジョンか。市和歌山のバッテリーがオススメ

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

チーム事情から見るドラフト戦略2021~巨人編

 今年の順位がどうこうという以前に、いまの巨人には5年後のチームを背負うであろう"ホープ"が、投手にも野手にも見当たらない。それはファームの試合を見たら一目瞭然である。

 チーム内にいないのであれば、ドラフトで獲得するしかない。たとえば、5年後の菅野智之になれる投手ははたして誰なのか?

中学時代からバッテリーを組む小園健太(写真左)と松川虎生の市和歌山バッテリー中学時代からバッテリーを組む小園健太(写真左)と松川虎生の市和歌山バッテリーこの記事に関連する写真を見る 実力、スケール、存在感......東海大のエースとして奮闘していた頃の菅野に似た雰囲気の持つ投手となると、市和歌山の小園健太(右投右打)の名前が真っ先に思いつく。

 ストレートのスピードはもちろん、キレ、制球力、変化球も一級品。打者を見ながらピッチングできるという点では、高校球界のなかでは突出している。

 今シーズン、高卒5年目の山本由伸(オリックス)が"難攻不落のエース"へと成長を遂げたが、5年後の小園にもこの姿が思い浮かぶ。

 将来のエース候補を獲るなら、バッテリーを組むレギュラーマスクの見通しは立っているのか? ディフェンスだけというなら、チーム内に候補はいそうだが、巨人のレギュラーマスクとなれば、「バットのほうはさっぱり......」では困るだろう。

 ならば、小園のチームメイトで、中学時代からバッテリーを組む松川虎生(右投右打)も一緒に獲得してはどうか。何かの報道で、どちらかの選手は「プロは別々の球団で」という主旨の記事を目にしたが、じつはそこをいちばん心配している。

 捕手が松川以外になった時、はたして小園は今までのような快投ができるのだろうか。捕手が代わった途端、これまでのピッチングがウソのようにダメになる投手を何人も見てきただけに、不安が残る。

 それだけふたりの呼吸は合っていたということだが、松川にはバットマンとして大きな可能性を感じている。ミート力、長打力は全国レベルで、これといった穴がないのも魅力である。プロの捕手は覚えることも多く、今までのようにバッティングに集中できないかもしれないが、ぜひとも「打てる捕手」として育ててほしいと思う。

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