ソフトバンクのドラフトは今年も「打てる野手」狙いか。152キロ右腕を打者として獲る秘策も!? (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

最速152キロ右腕の関東一高・市川祐だが、打者としても非凡な才能を見せる最速152キロ右腕の関東一高・市川祐だが、打者としても非凡な才能を見せるこの記事に関連する写真を見る そしてもうひとり、バットマンとしてとっておきの隠し玉的存在が関東一高の市川祐(投手/右投右打)だ。市川はチームの絶対的エースであり、打順も6、7番がほとんどだったからあまり注目されることはなかったが、個人的には打者としても全国級のセンスの持ち主だと見ている。

 投手のモーションと同時にタイミングを取り始め、静かに球筋を見て、自分のゾーンに入ってきたボールだけをジャストミート。たいした力感もなく、体の前でサッと振り抜いたスイングから放たれた打球は、あっという間に外野の深い位置に届く。「センター前ならいつでも打てます」というミート上手な選手は時々いるが、簡単にセンターオーバー、左中間へ打てる打者はそういるものではない。

 ただ困ったことに、本業であるピッチャーのほうで評価が急上昇なのである。この夏、自己最速の152キロをマーク。鋭いタテの変化とカットボールを交えた投球は精度も高く、3位か、もしかしたら2位で指名される勢いである。本人は投手一本で考えているかもしれないが、このまま打者をあきらめるのはあまりにもったいない選手である。

 近年のドラフトで24歳以上の野手をひとりも指名していないソフトバンクだが、牧原大成が外野に回っている状況を見れば、そうは言ってられない。

 とくに今年の社会人には、来季からすぐに戦力として計算できる選手がいる。NTT東日本の向山基生(25歳/外野手/右投右打)とトヨタ自動車の中村健人(24歳/外野手/右投右打)のふたりだ。

 法政大時代から今回で3度目の「ドラフト候補」となる向山は、すでに社会人では誰もが認める野手の第一人者。チームの主力として、これまで何度も全国の舞台でコンスタントな活躍を続けてきた。「飛び抜けたものがちょっと......」と言うスカウトもいるが、それは走攻守のレベルが高すぎて、逆に「平凡」と錯覚してしまっているのではないかと思う。

 中村はバッティングの非凡さはもちろん、定位置付近からダイレクトのバックホームで本塁突入の走者を刺せる鉄砲肩に、50mを6秒ちょっとで走れる足、そしてとらえた時の飛距離......身体能力の高さは実証済みである。

 阪神の近本光司、糸原健斗、ヤクルトの塩見泰隆、中日の大島洋平、ロッテの荻野貴司など、社会人野球出身の「三拍子揃い」は結構一軍の戦力になっている。向山と中村も、プロに入ってより輝きを増しそうな逸材である。

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