今シーズンまだ4勝だけど...「さすが田中将大」と納得させられる圧巻の数字 (3ページ目)

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • photo by Kyodo News

「2点は取られましたけど、球数は少なく抑えられていましたし、自分ではすごくよくて。チームが勝つために交代させられたことは理解できるんですけど、ひとりの先発ピッチャーとして考えた時に『そんなんでいいのか?』って、すごく悔しくて。『このままじゃ絶対にダメだ』って変わったというか、もっと信頼されるピッチャーになろうとあらためて強い気持ちが芽生えました」

 周囲の目が「世界一厳しい」と言われるヤンキースで7年揉まれた矜持が、田中に責任感を植えつけた。

 だが、これだけのパフォーマンを見せているにもかかわらず、4勝というのはあまりにも少なすぎる。もちろん、14本のホームランを打たれていることなどが理由として挙げられるが、それらを補って余りあるだけの数字は残している。

 そこで援護率を調べてみると、田中が投げた試合は2.52。これはパ・リーグで規定投球回数をクリアしているピッチャーのなかでもっとも低く、チームトップの9勝を挙げている則本昂大の3.88と比較すると、いかに援護が少ないかがわかる。

 まだ田中が海を渡る前のことだが、楽天の主力選手が申し訳なさそうに話していたシーンを思い出す。

「田中とかダルビッシュ(有)が投げる試合って、ロースコアが多いじゃないですか。おそらくそれって、安心感があるからなんですよ。『田中ならそんなに点は取られない』みたいな。もちろん、僕たちだって援護はしたいですよ。でも、無意識に『抑えてくれる』という気持ちが出て、結果的にロースコアになってしまう」

 レギュラーシーズンは終盤を迎えた。楽天は現在3位で、首位のロッテとのゲーム差は5.5。自力優勝は消滅しているとはいえ、まだチャンスは残されている。流れを変えるキーマンがもし田中だとすれば、残りの試合でどれだけの勝ち星を積めるかが重要になる。2013年のように田中が投げ、打線がしっかり援護することができれば、8年ぶりの戴冠も夢物語ではないはずだ。

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