日本ハム時代に中田翔を更生させた稲葉篤紀。八重樫幸雄が見たマジメさと面倒見のよさ

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

【トレードマークの「全力疾走」で悩んだ日々】

――多くの人が「稲葉は生真面目だ」と言うのを耳にしました。八重樫さんから見た稲葉さんの性格はどんなものですか?

八重樫 みんなが言うとおり、生真面目ですよ。真面目すぎるから、あれだけの猛練習をするんでしょう。ただ、プライベートはわかりません。アイツは酒は呑まないけど、私生活に関してはノーコメント(笑)。当時、チームメイトだった馬場(敏史)と仲がよくてよく一緒にいて、「稲葉はプライベートでも真面目すぎるぐらい真面目ですよ」と、馬場は言っていたけどね。

――ベンチからライトまで全力疾走でグラウンドに飛び出す姿勢に、稲葉さんの生真面目さが表れている気がしますね。

八重樫 あの姿勢はすばらしかったですよね。でも、そのことについてアイツが悩んでいたことがあったんです。

――稲葉さんは、全力疾走の件で悩んでいたんですか?

八重樫 あるチームメイトから「長いシーズン、あれだけ全力疾走をしていたら1年を通してスタミナが持たないぞ。少し緩めたらどうだ?」と言われたらしいんですよ。そんな言葉なんて無視すればいいのに、アイツは生真面目だから真に受けちゃって、「どうしよう?」と悩んでいたんだよね。

――八重樫さんは、何かアドバイスをしたんですか?

八重樫 何か様子がおかしかったから、「どうしたんだ?」と聞いて事情を理解したので、「いいか、お前の全力疾走を見て、お客さんはあれだけ拍手をしてくれるんだぞ。体に負担がかかるならともかく、そうでないなら気にせずに続ければいいじゃないか」と言いました。その姿勢は、日本ハムに移籍後も続けていたね。

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