BCリーグ分裂の真相。なぜ西地区の4球団は新リーグ発足へと向かったのか (2ページ目)

  • 阿佐智●文・写真 text & photo by Asa Satoshi

「やはり疎外感があったのかもしれない」

 淡々と口を開いた村山氏だったが、その言葉には後悔と反省が混じっているように見えた。

 そもそも、きっかけは新型コロナウイルスだった。コロナ禍に見舞われた昨年から、BCリーグ西地区は長距離移動を控えるため、他地区との交流戦を一切していない。昨年はほかの2地区も中止となったが、今シーズンは中地区(信濃、新潟、群馬、福島)と東地区(埼玉、栃木、神奈川、茨城)は交流戦を行なっている。そうした状況のなか、西地区の球団が「疎外感」を感じてしまうのも無理はない。

 来シーズンより別リーグで活動を行なうというが、事実上、昨年から独立状態だったせいか、選手たちも新リーグに関しては実感が湧かないという意見がほとんどだった。

 西地区の「疎外感」をさらに高めたのは、NPB球団との交流戦だった。BCリーグは発足以来、NPB球団のファームと交流戦を実施している。スカウトが訪れるこの交流戦は、選手にとって絶好のアピールの場であるとともに、観客動員に苦しむ球団にとっても大きな収益が期待できる「ドル箱」カードである。

 近年、NPB側でこの交流戦にもっとも積極的だったのが巨人とあってはなおさらである。昨年中止となった巨人三軍との交流戦は、今年になって再開されたが、西地区はここからも外されることとなった。西地区の球団にすれば、このような状況でBCリーグに加盟している意味を見出せなくなったのかもしれない。

 BCリーグと四国アイランドリーグplusの優勝チームが戦う「グランドチャンピオンシップ」を見ると、最初の4年は先輩格である四国アイランドリーグplusが優勢だったが、石川が徳島を破って日本一に輝いた2011年以降は5勝4敗と勝ち越している。

 それだけBCリーグのレベルが上がったということだが、関東圏に球団の多いBCリーグのほうがスカウトの目が届きやすく、それゆえ好素材の選手が集まりやすくなったことも背景にある。

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