低迷する日本ハムがドラフトで狙うべきは「パワーヒッター」と「パワーピッチャー」だ

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

チーム事情から見るドラフト戦略2021〜日本ハム編

 ドラフトまであと1カ月を切ったが、学生球界ではコロナ禍の影響により秋のリーグ戦開幕が遅れていて、各球団とも最後の詰めに苦労していると聞く。とくに低迷しているチームにとっては、ドラフトの成否は大きい。

 2016年の日本一以降、2018年に3位に入ったが、5位が3回、最下位1回と不本意なシーズンが続いている日本ハム。今年もシーズン序盤から苦しい戦いを強いられ、主砲の中田翔がチームメイトへの暴力行為で巨人にトレードされるなど、厳しい状況が続いている。

 明るい話題といえば、ルーキーの伊藤大海が先発ローテーションの一角として堂々のピッチングを見せ、宮城大弥(オリックス)や早川隆久(楽天)らと新人王争いを繰り広げているぐらいで、チームの立て直しは急務である。

今年6月の全日本大学野球選手権で2本塁打を放った慶応大のスラッガー・正木智也今年6月の全日本大学野球選手権で2本塁打を放った慶応大のスラッガー・正木智也この記事に関連する写真を見る まずは、軸を失った打線をどうするかが最重要課題である。9月12日現在、チーム本塁打55本は12球団最少で、いくらホームランの出にくい札幌ドームを本拠地にしているとはいえ、寂しい数字である。

 未来の大砲候補として2017年にドラフト1位で入団した清宮幸太郎の伸び悩みは痛いが、いつまでも気長に成長を待っているわけにもいかない。ここは思いきって「パワーヒッター」の獲得を目指したい。

 そこで名前が挙がるのが、慶応大のスラッガー・正木智也(右投右打/内野手兼外野手)だ。強靭なリストと勝負強さを兼ね備え、今年6月の大学野球選手権で放ったバックスクリーン右に飛び込む一発にホームランアーチストの資質を見た。将来のリーダーの期待も込めて、1位で獲得したいところだ。

 一方の投手陣だが、チーム防御率3.53(リーグ2位)と安定した成績を残している。先発では先述した伊藤に加え、上沢直之、加藤貴之、河野竜生......リリーフ陣では堀瑞輝、杉浦稔大の活躍が光るが、150キロ超えのいわゆる「剛腕」タイプが少ない。ストレートとわかっていても打たれないタフなピッチャーがほしいところだ。

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