セ・リーグの優勝争い。谷繁元信が指名した阪神・巨人・ヤクルトそれぞれのキーマンは? (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 チームを率いる立場からすると、いかに星勘定をできるか。"計算できる"選手こそ、優勝へのキーマンに挙げられると谷繁氏は言う。

「毎試合出ている選手、毎試合投げる準備をしている選手、もしくは常に先発ローテーションを回している選手。優勝するポイントは、そういう選手じゃないと当てはまらないと思います。

 となると、ヤクルトのキーマンは山田。今年の状態は悪くないし、特別よくもない。でも、しっかりポイントでは打っている。体に多少は不安を持ってプレーしているシーズンなので、とにかく出続けてくれるかがポイントになると思います」

 山田はシーズン前半に下半身のコンディション不良で欠場する試合もあり、ここまで85試合でリーグ18位の打率.271と決して本調子ではない。それでも同4位のOPS.925と、得点に直結する働きを見せている。巨人の坂本同様、ヤクルトの命運を握るひとりだろう。

 4位以下はクライマックスシリーズ(CS)出場圏内からも大きく離されている。昨季8年ぶりのAクラスに入った中日だが、今季は3位・ヤクルトまで11ゲーム差の4位と苦しい展開だ。

「不可能な数字ではないですが、正直、厳しいゲーム差です。どうやって上位を追いかけていこうとするのか、戦いぶりからなかなか見えてきません」

 OBの谷繁氏はそう言うと、歯痒い表情を浮かべた。投手陣は柳裕也がリーグ2位の防御率2.20、小笠原慎之介が同5位の3.12と奮闘し、リーグ最高のチーム防御率を誇るのに対し、同最低のチーム打率.238と得点力に乏しい。

「ずっと"投高打低"を言われますが、じゃあその打線をどうしようとしているのか、なかなかこちらには見えてきません」

 そう話した谷繁氏が奮起を促すのは、打率.249の京田陽太と同.241の高橋周平だ。

「ふたりは現状よりもっと能力がある選手だと思いますが、その力が見えてこないという点で寂しさがある。漠然と調子の良し悪しに応じて毎日打席に入っているような感じがします。自分はどういうバッターになろうとしているのか、残り試合で見せてほしい」

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