オリックス宗佑磨の伝説プレーに恩師も驚愕。サード挑戦は「最初はちょっと嫌でした」 (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Koike Yoshihiro

「だって、サードができないとクビになっちゃうんで......そういう意味で、自分にとっての生きる道をつくってもらったことには本当に感謝しています。これが僕の野球人生なんで、後悔しないように、覚悟を持ってやっていかないとね」

 松田宣浩が常連だったゴールデングラブ賞、パ・リーグの三塁手部門は昨年、鈴木大地が選ばれているが、彼は今年、おもに一塁を守っており、宗が最有力候補ではないかという声はあちこちから聞こえてくる。宗はこう続けた。

「サードって、ショートやセカンドに比べたら足を使う場面が少ないんです。その分、強い打球への一瞬の反応とか判断がすごく大事になってくる。その反応によってボールに追いつくかどうかが決まってしまうので、そこは集中してやっています。もともと一瞬の判断とか、そんなに得意じゃありませんでした。

 でも、やっていくうちに自分のなかでリズムがつかめてきたと思います。1年を通して守れたわけではないので技術力もまだまだですけど、サードは三遊間への打球が多いので、そっちに意識を置きながら、三塁線は逆シングルで捕りにいって、抜かれたらしょうがない、くらいの気持ちで守っています」

 今年のオリックスが目指しているのは、1996年以来のリーグ制覇と日本一。その1996年に、宗は生まれている。

「いま25歳だから......25年ぶりってことですか? 僕、小学校の時になんかの大会で優勝した記憶はありますけど、勝ってうれしかった経験はあまりないんですよね。でも、今年は勝つ喜びをすごく強く感じますし、このまま最後まで戦って、全員で優勝したいなと思っています。京セラドームの満員のお客さんのなかで優勝できれば、それが一番気持ちいいでしょうね」

── 優勝がサードライナーで決まって、宗選手がウイニングボールを捕りたい、なんて欲はありませんか。

「いやいや(笑)、最後までフィールドに立って、最後のアウトまで守れていればそれで満足です。ウイニングボールはマサさん(吉田正尚)さんが捕るか、あるいは(山本)由伸が9回まで投げて、最後、三振で終わるとか......いやぁ、それが現実になったら、もう最高ですね」

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