「飛び蹴りの前に伏線があった」。元カープ・高橋慶彦と正田耕三が明かした「あの事件」の真相

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 布川航太●撮影 photo by Nunokawa Kota

広島カープOB
高橋慶彦×正田耕三対談(中編)

>>>前編はこちら

 現役時代に確執が伝えられた、高橋慶彦と正田耕三による禁断のカープOB対談。中編では、1980年代のカープの度を超えた練習量と、独特の人間関係。そして、いよいよ「飛び蹴り事件」に話題が及んだ。

カープ黄金期の二遊間を守った正田耕三(中央)と高橋慶彦(右) photo by Sankei Visualカープ黄金期の二遊間を守った正田耕三(中央)と高橋慶彦(右) photo by Sankei Visual

高橋 いまだに理解できなかったのが、夏場に走らされることね。「(春季)キャンプの走り込みでは、3ヶ月くらいしか持たん」と言われて。

正田 「電池が切れる」って、よう言われてました(笑)。

高橋 そうそう。だから、夏にまた走り込みせなあかん。

正田 ポール間走やら、アメリカンノックやら......。

高橋 「どういう考えなん?」って思っていたよ。夏場に体が疲れているってことなんじゃないの......と思いきや、「バッテリー切れやから充電せなあかん」と。

正田 しかも、試合前に走ったりしますから。

高橋 「ベテランは免除」なんて特権、もちろんない。

正田 オールスター期間中なんて、地獄やったですよね。

高橋 オールスターに選ばれれば、マジで最高やった。

正田 そうなんですよ。とにかくカープの練習がきついから、オールスターに出たかったですねぇ。

―― 今にして思えば、ちょっとやりすぎだったのでしょうか?

高橋 でも、それでよかったと思う。ショウ(正田)も同じじゃない? カープだったから今がある。もし違うチームだったら、俺たちはいないな。

正田 いない、いない。まあ、洗脳されちゃうんですよね。練習する環境に馴染んでいって。

高橋 郷に入れば郷に従え、やね。慣れてしまえばそれが当たり前になる。

正田 びっくりすることはありましたけどね。松山の競輪場を走らされたり、オープン戦でビジターなのに相手チームより早く球場に着いて練習したり。

高橋 あったなぁ。(ウォーミング)アップじゃないもん。トレーニングやもんな。今のプロ野球は科学的にトレーニングを考えられているけど、俺たちなんて原始人みたいなもんや。槍と弓矢を持って、高性能のピストルや機関銃と戦うくらいの差がある。

正田 (笑)

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