岩瀬仁紀が徹底解説。侍ジャパンはなぜアメリカを0点に抑えることができたのか (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by JMPA

── クローザーの栗林投手も走者をひとり出しましたが、見事な火消しでした。

「あと2人出すとオースティンまで回る打順の巡りだったので、9番打者で終われたのは大きかったですね。1番のエディ・アルバレス(マーリンズマイナー)まで回すと、嫌な流れでしたから」

── 栗林投手は全5試合に登板して、2勝3セーブの大活躍でした。今大会を通じて、岩瀬さんは日本代表の継投をどう見ていましたか?

「調子のいいピッチャーをどんどん継ぎ込むのが得策なので、その意味でいい継投ができたと感じます。今大会は勝ち続ければ試合数が少なくなり、試合間隔も空いて有利に働くシステムでした。だからなおさら、打たれた感覚のないピッチャーで試合をまとめたのでしょう」

── 対戦相手の投手はどうでしたか。決勝戦で好投したニック・マルティネス(ソフトバンク)といい、オープニングラウンド初戦(ドミニカ共和国戦)のC.C.メルセデス(巨人)といい、日本でプレーする外国人投手にここまで苦しめられるとは思いませんでした。

「そこが一発勝負の難しさです。もちろん彼らの力量もありますが、打者もプレッシャーを感じるので、いい打者を並べても点が入るわけではありません。それを私はアテネ五輪のオーストラリア戦で痛感しました。そんなに好成績を残していたわけではない、クリス・オクスプリング(元阪神ほか)に抑えられましたから」

── 北京五輪代表のG.G.佐藤さん(元西武ほか)は日本代表が決勝進出を決めた時点で号泣したように、岩瀬さんにも北京五輪で癒え切れていない傷や呪縛があったのではないでしょうか。

「そうですね......。プロが五輪に参加するようになってから、『金メダルを獲って当たり前』という雰囲気ができました。それでも、なかなか獲れず、今回やっと金メダルに輝きました。この先、五輪での野球はどうなるかわかりませんが、自国開催でのチャンスで金メダルを獲れて本当によかったです」

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る