侍ジャパン初陣ドミニカ戦、先発・山本由伸は「特別な思い」でマウンドに登る

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 3大会ぶりにオリンピックの正式種目として復活し、悲願の金メダル獲得を"至上命令"とされる野球日本代表「侍ジャパン」が、7月28日に東京五輪の初戦を迎える。対戦相手は、カリブ海の強豪ドミニカ共和国だ。

 ドミニカは2013年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を制したように、世界で最も野球が強い国のひとつとして名を馳せる。フェルナンド・タティス・ジュニア(サンディエゴ・パドレス)やブラディミール・ゲレーロ・ジュニア(トロント・ブルージェイズ)ら若手の長距離打者がメジャーリーグ(MLB)を席巻するなど、「ドミニカなしでMLBは成立しない」という声も聞こえるほどの人材輩出国だ。

山本由伸は所縁のあるドミニカとの初戦に先発する山本由伸は所縁のあるドミニカとの初戦に先発するこの記事に関連する写真を見る 実際、今季開幕時点のMLBで全米50州以外の国や地域から登録された256人のうち、ドミニカは最多で98人(日本人は8人)。東京五輪や2020年以降に行なわれた同予選に、MLBは各球団でベンチ入りする26選手の派遣を認めていない。裏を返せば、ドミニカはそれだけ実力者を欠いても出場できるだけの選手層を誇っている。

「ドミニカにとって、野球はナンバーワンスポーツです。WBC以外の国際大会では出られる選手に制限がありますが、その時にいるメンバーでベストを尽くそうと、オリンピックに出られるようにプロジェクトを進めてきました」

 そう話すのが、筒香嘉智(ロサンゼルス・ドジャース傘下)や森友哉(西武)が中学時代に所属していた堺ビッグボーイズの監督を務め、日本で最もドミニカ野球に精通するひとりの阪長友仁氏だ。今回、ドミニカ代表のホセ・ゴメスGMから「補佐してほしい」と要請を受け、NPBでプレーする選手の出場について所属球団と交渉する役割などを担った。

 東京五輪に挑むドミニカ代表には"フルメンバー"から大きく劣るなか、将来のスーパースター候補がいる。今年のMLBプロスペクトランキングで5位に入ったフリオ・ロドリゲス(シアトル・マリナーズ傘下)だ。190cm、81kgの右打者はまだ20歳の大型外野手で、阪長氏も期待を寄せている。

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