川崎憲次郎が今季バケたセの投手4人を診断。阪神の変則右腕は「球質が汚い」

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 ピッチャーはリズム、バランス、タイミングのどれひとつが欠けても絶対に投げられません。左足の蹴りはリズムのひとつ。自分のなかでリズムを作れれば、バランスとかタイミングが全部合ってくるんです。たかがひと蹴りだけど、されどひと蹴りなんです」

 そうした才能を誇る一方、まだ突き抜け切れていない理由も当然ある。奥川の成長途上の部分について、川崎氏はこう指摘する。

「(1年目にした右ひじの)ケガの影響もあるかもしれないけど、体重移動や体の開きが気になります。軸足の使い方ですね。並進運動で前に行き、体を止める技術というか。体の開きを直すのは難しいことなんです。

 でも、体の開きが止まった時には、絶対勝てるようになる。少しでも改善できれば絶対今よりいいピッチャーになるし、エース級に育つと思います」

◆「時代に逆行」なんかじゃない。中日・柳裕也は140キロ強の直球で、なぜ奪三振を量産できるのか>>

 奥川はまだ高卒2年目。ヤクルトは大事に起用しながら、大きく育てようという意図がうかがえる。川崎氏が指摘するように、体重移動や左肩の開きが改善されれば、球界を代表する投手になるだろう。

 東京五輪の中断期間が終わって以降、未来のエース候補は実戦を重ねながらどのように羽ばたいていくのか。ヤクルトが6年ぶりの逆転優勝を狙ううえでも、カギを握るひとりになりそうだ。

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