川崎憲次郎が今季バケたセの投手4人を診断。阪神の変則右腕は「球質が汚い」 (3ページ目)
一方、サイドとアンダーの中間くらいから右腕を振り、独特の球筋を活かしているのが阪神の青柳晃洋だ。大卒4年目から先発ローテーションで活躍し、6年目の今季は14試合で8勝2敗、リーグトップの防御率1.79。東京五輪の日本代表にも選ばれ、金メダル獲得のカギを握るひとりだ。
青柳は"変則右腕"と言われるように、他者にはマネしにくいスタイルが快進撃の裏にある。川崎氏が解説する。
「球筋が"汚い"と言ったら申し訳ないけど、あの投げ方から、きれいな回転のストレートは投げられないと思います。逆に言えば、そうしたストレートが武器になっている。スライダーもツーシームもエグいですしね。どの球が来るのか、バッターは迷うと思います」
平均142キロ前後のストレートは独特の軌道を描き、さらにツーシーム、シンカー、チェンジアップ、スライダー、カットボール、カーブと持ち球は多彩だ。一般的な変則右腕にとって、ボールの出どころを見やすい左打者が"天敵"になりがちだが、青柳はここを抑えている点にも活躍の理由がある。川崎氏が続ける。
「左バッターにシンカーやツーシーム系のボールを多投して凡打させています。あの投げ方だと、当てる怖さがないので投げやすいのは確かです。
でも、僕のシュートが左バッターに通用したのは1年半だけでした。以降はセンターからレフト方向に持っていかれて、お手上げだったんです。青柳は左バッターを打ち取れているのが大きいと思いますね」
今後の覚醒を期待されるのが、ヤクルトの右腕投手・奥川恭伸だ。
高卒2年目の今季は10日前後の登板間隔を空けながら、10試合に先発して4勝2敗、防御率4.19。成績的には特筆するほどではないものの、星稜高校時代に甲子園を沸かせた右腕には独特の才能がある。投球動作の並進運動中に見せる、左足の蹴りだ。川崎氏が解説する。
「サード側にポンと左足を蹴ることで、バッターに対してワンテンポ、間を開けることができます。0秒未満の話ですけど、重要なことです。本人のタイミングが合うか、合わないかなので、できる人とできない人がいます。
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