川崎憲次郎が今季バケたパの投手4人を診断。19歳左腕の技術に「普通は体がおかしくなる」 (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 テンポが早いし、フォアボールも少なくて、宮城と同じような感じですね。スタイルは少し違うけど、今どきの子なのかなという感じもします。ふたりともテンポがすごく早くて、ストライクをバンバンとってくる。早川はストレートの質もすごくよくて、チェンジアップとの組み合わせで打ちとっていきます」

 早川と同じ楽天に、7年前のドラフトで鳴り物入りで入団したのが安樂智大だ。

 当時甲子園最速の155キロを計測した剛腕はプロ入り後、度重なる故障もあって鳴りを潜めていた。それが今季、勝ちパターンのセットアッパーに定着し、31試合で3勝0敗、防御率1.11と抜群の安定感を発揮している。

 現在の安樂はストレートが140キロ代後半しか出ないなか、なぜ一軍で抑えられているのか。川崎氏は、中継ぎの役割がハマったと見ている。

「去年はロングリリーフで、実績を上げて今は6、7回の1イニングを任されています。先発の時は、5回まではよくても6回に急に捕まるなど、突然乱れ始めました。でも、今は1イニングだから、思い切って投げられているように感じます」

 それまで活躍できていない選手が殻を破る、あるいはプロの世界で長く活躍するためには、"変化"を受け入れることが必要だと川崎氏は言う。安樂にとって、それがストレートの球速だ。

 かつて150キロ以上出ていたのが、現在は140キロ台後半に下がった。外部から見れば衰えたように感じられるが、ともすればプラスに働いている可能性もあると川崎氏は指摘する。

「まず、肩ひじへの負担は今のほうが少ないと思います。それで精度が上がれば、そっちのほうがいい。以前はスピードボールで押しまくり、フォークボールで力を入れて投げたらワンバウンドで暴投になることもありました。今のボールで一軍に通用するなら、8割で投げればいいじゃんって思ったはずです」

 安樂は変化を受け入れ、昨季ロングリリーフで結果を残した。すると首脳陣は今季、チームの勝利に欠かせないポジションを任せた。そうした起用法を安樂は意気に感じ、それが今好成績につながっていると川崎氏は言う。

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