「いつか息子にチャーハンを...」。家族と離れ、異国でプレーする助っ人たちのあっぱれな心意気 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 オスナもコロナ禍のなか、日本に来ることについて不安も迷いもなかったと話した。

「レギュラーとして野球ができるチャンスでしたから、前向きにとらえて日本でやろうと。異国であっても、野球をしてお金が稼げるのはなによりのことです。来日前はアレックス・カブレラ(元西武など)から、日本でプレーするにあたって気をつけることや、時間をしっかり守ることなどのアドバイスをもらいました」

 隔離施設では、テレビでヤクルトの試合を欠かさず観戦。隔離明けは二軍で2試合出場後、4月23日にほぼぶっつけ状態で一軍に合流。オスナとサンタナが球場に姿を見せると、山田と村上がすぐに歩み寄ってきた。

「神宮に入った時は本当に新鮮な気持ちでした。あいさつの時は、まだみんなの名前を知らなかったけど、どの選手も親しみやすくすぐに仲良くなれると思いました。とくに愉快なのは山崎(晃大朗)で、あとは嶋(基宏)さん!」

 ほかの外国人選手同様に、オスナも家族と離れて暮らしている。コロナ禍という状況下で、不安も多いのではないだろうか。

「メジャーでもいろいろと制限されていたので初めてのことではないし、健康を守るための制限は仕方ないことですね。家族に会えないことは本当に寂しいですが、毎日電話もしていますし、球場ではチームメイトから元気をもらっているので、モチベーションの面で困ることはありません」

 初めて経験する日本の野球について聞くと、こんな答えが返ってきた。

「日本の野球はタイミングがすべてだと思います。ピッチャーがさまざまな手段でバッターのタイミングをずらそうとするので、そこにどう対応するかです。そのほかに文化の違いもありますが、基本的にどこの国でプレーしようが野球は野球です」

 そして「日本はチームが一丸となって点を取る意識がとても強いと感じています」と言い、こう続けた。

「メジャーは簡単に言えば、自分が活躍して勝利に貢献するという意識です。日本では代走や守備固めといったスペシャリストがいたり、代打でバントをするとか、個人の成績に反映されないこともあるのですが、みんなが『次の1点を取る』という意識で勝利に向かっています。それに自分の調子がよくない時は、ほかの選手がカバーしてくれるといった信頼感もあります。そのスタイルは新鮮でしたし、すごく好きです」

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