中日・柳裕也、5年目ブレイクの理由。春季キャンプで感じた違和感、先輩・涌井秀章に学んだこと (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

「涌井さんと言えば、走り込みで有名だと思います。やっぱり、すごい量のランニングでした。そこで走り込んだからというわけではないけど、僕自身、今でもランニングに対する意識が高くあります」

 自身初のふたケタ勝利を飾った2019年から一転、昨季は不本意な1年に終わった。捲土重来を期した今季、トップコンディションを維持できている理由は、ベスト体重を保てていることにある。

 実は、2月1日から沖縄で始まった春季キャンプ序盤で、柳は"違和感"を覚えたという。

「ストレッチをしていて、なんか体が動きづらいと思ったんです。当時の体重は90kg。それから2019年にふたケタ勝った時の体重を調べると、85kgくらいでした。僕、ご飯を食べるのが好きで、食べるとすぐ太る体質なんです。ちょっと変えてみようかなと思って、食事量を調整して緩やかに落としていきました。今は85kgくらいで、体も動くようになったという感じはありますね」

 柳が自分の体とうまく対話できるようになった裏には、ランニングがある。長い距離を走ることで、自身の状態をさまざまに確認できるのだ。

 近年、野球界では"走り込み"の是非が議論の的になっている。日本では古くからの伝統で、とくに投手は長い距離を走って下半身を鍛えることが大事とされてきた。

 一方、野球の競技性を考えると、とくに大事なのは瞬発力で、走り込みより短距離ダッシュやウエイトトレーニングのほうが効果的だという指摘もある。

 柳自身はどう考えているのだろうか。

「僕もトレーニングをしますし、走り込みだけで体を作るタイプではありません。でも、走るのは大事だと思っていて。感覚的な話ですけど、走ることでしか感じられない体のことってあるんですよ。

 たとえば、調整のなかでの疲労感とか、体の張りを作るとか。走っていると『体が動くな』と感じられますし、逆に『体が重いな』と思ったら体重が原因ということもある。でも、ランニングだけしておけばいいというのも違う。両方大事にしていますね」

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