阪神ドラ1の肩書きは「しんどかった」。伊藤隼太「ここ数年は悩むことも多く、出口のない中で答えを探していた」

  • 寺下友徳●取材・文 text by Terashita Tomonori
  • Photo by Terashita Tomonori

ーーそういった中で「阪神ドラフト1位」というのは、自分自身で意識しなくても、周りから意識させられる材料だったと思います。

伊藤
 正直に言えばしんどかったです。「これくらいやってくれて当然だろう」という空気感が伝わってきましたから。

 僕が「ドラ1」というようなことを気にしない性格だったら......。昨年の阪神ドラ1の佐藤輝明くんはそこをあまり感じていないようですし、どの球種に対しても崩れずに思い切り振っている。ふてぶてしさや、評価に対するいい意味での鈍感さも持っていますよね。

 僕も細かいところを気にしないようにしていたら、「もっと気楽にプレーできていたのかな」とは感じます。特に最初の2、3年はそんな感じでした。

ーー何か動きを見せれば、スポーツ紙で「隼太が○○」という見出しが踊っていました。

伊藤 そういったことを気にして一喜一憂していたんです。浮かれていた部分もあったかもしれません。特に入団1年目のキャンプでは地に足がついていなかったです。

 僕は人と違ったプロ野球での生活を送れたかもしれませんが、確固たる自分を持っていなかったです。周りからもてはやされて、期待されて、結果が出なくて落されるのは辛かったですね。

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