エルドレッド「ざるうどんが恋しい」。カープ史上最も愛された助っ人が選手時代の思い出や大谷翔平を語った (4ページ目)

  • スポルティーバ●取材・文 text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

―― カープに在籍した7年間で、いちばん印象に残った出来事は?

「アメリカで『日本の野球はどうだった?』と聞かれる時によく言うのですが、いちばんはファンの違いです。アメリカでプレーしていた際、試合でヒットを打てないと『何をやっているんだ?』とか、ヤジがすごくて。一方、カープに入団した当初、1試合で3三振した日があったんです。『はぁ、これではダメだ。ファンにも怒られる』と思いながら、試合後、タクシーを待っていたら、ファンやタクシー運転手が『応援しているよ』『こっちのタクシーに乗りなよ』って話しかけてくれて。そんな温かいファンがいたからこそ、『よし、明日こそ打とう』と前向きになれました」

―― もし今、広島に来られるとしたら、特に話したいチームメイトは?

「チームメイトはみんな大好きだったし、忘れられない時間を過ごせました。まずは、西村(公良)通訳かな。本当に彼はいつも一緒にいてくれたベストフレンド。現役時代、彼と話す時間は僕にとってリフレッシュになっていました。ほかに、1年目に石原さんが気にかけてくれたことも忘れられません。来日当初、家族をアメリカに残して僕だけ日本にいたのですが、石原さんが声をかけてくれたことで、気持ちが楽になったことを覚えています。

 あとは『ざるうどん』が恋しい(笑)。試合の前によく食べていたので、日本に行けた際は、絶対食べます!」

―― 最後にファンの方へメッセージを。

「引退セレモニーの際、多くのファンがマツダスタジアムに駆けつけてくれたこと、大きな声援を送ってくれたことは、一生忘れません。コロナの影響で1年以上日本に行けていないのですが、カープファミリーの一員としてアメリカで頑張っています。またみなさんと広島で会える日が待ち遠しいです。Go Carp!」


【Profile】
ブラッド・エルドレッド
1980年生まれ、アメリカ・フロリダ州出身。2002年MLBドラフト6巡目指名でパイレーツに入団。その後、ロッキーズ、タイガースを経て、2012年シーズン途中に広島カープに入団した。2014年に本塁打王を獲得、2016年の日本シリーズでは3戦連続ホームランを放ち、敢闘賞に輝いた。2018年限りでカープを退団し、2019年に現役引退を発表。同年、外国人選手としては異例の引退セレモニーが行なわれた。現在はカープの駐米スカウトを務める。

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