エルドレッド「ざるうどんが恋しい」。カープ史上最も愛された助っ人が選手時代の思い出や大谷翔平を語った (2ページ目)

  • スポルティーバ●取材・文 text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

―― そんな大谷選手から、2016年の日本シリーズ第1戦でバックスクリーンにホームランを打ちました。

「当時からすでに傑出したピッチャーでしたが、大谷の場合、その後もみるみる成長していった印象があります。

 それにしても、大谷のインパクトは絶大ですね。それまで、同じような才能、ポテンシャルがある選手でも、どこかのタイミングで投手か野手か選ぶ必要があった。そんな常識をひとりで変えてしまったわけですから。その存在は"スペシャル"という言葉に尽きると思います」

―― 一方、筒香嘉智選手は今シーズン途中、レイズからドジャースに移籍。一部から「速球(ファストボール)への対応」が課題に挙げられていますが、どう見ていますか?

「ファストボールの速さそのものよりも、(日米間の)投手の"角度"の違いに戸惑っている部分があるのかなと。アメリカのピッチャーは、概して背が高く、それを生かして、上から下へ向かうボールを投げます。一方、日本のピッチャーは、(下半身を使って)沈んで、ストライドを長くして投げるピッチャーが多い。それゆえ日本には、球が下から上に向かう、ホップする投手が多い気がしますね。僕も来日直後、ファストボールの質の違いに慣れるのは苦労しました。あとは慣れていって、日本にいた頃のような『筒香』を体現できれば、結果はついてくると思います」

―― カープについてうかがいます。今でも試合はチェックしますか?

「もちろん。ほぼ毎日、試合結果と選手成績はチェックしています」

―― カープは昨シーズン5位でフィニッシュし、現在(6月9日)も5位に位置しています。2016~18年の3連覇を知るエルドレッドスカウトから見て、カープは今、どのような段階に差しかかっていると思いますか?

「5位の理由は簡単。『エルドレッド』がいないからだね(笑)。まあそれは冗談として、チームには化学反応のようなものがある。僕がカープへ入団した時(2012年)、チームが連敗することは珍しくありませんでした。当時、ルーキーだった菊池(涼介)をはじめ、その後スターになる選手が入団したばかりだった。菊池や鈴木誠也(2013年入団)、田中広輔(2014年入団)といった"ヤングボーイズ"の成長と、石原慶幸さんや黒田博樹さん、新井貴浩さんといったベテランの力が見事に組み合わさったのが、3連覇の時期だったのかなと。

 今は、次なる"ヤングボーイズ"にとって雌伏の時。彼らがブレイクスルーして、チームにいい化学反応が起きれば、また常勝チームになれると思います。だから若手の選手たちは、菊池や田中の背中を見て、成長していってほしいですね」

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