谷繁元信「ずる賢さが足りない」と指摘。セ・リーグ捕手を細かくチェック (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 梅野は昨年まで3年連続ゴールデングラブ賞を獲得するなど、現在の阪神に不可欠な存在だ。"扇の要"が決まることで、チームはシーズントータルの戦い方を計算しやすくなる。加えて、投手が打席に立つセ・リーグで一定以上の打力を備える捕手は、攻撃面でも大きな存在だ。

 対して2位・巨人は近年、正捕手を固定できていない。梅野が阪神に4位指名された2013年ドラフトで、巨人がハズレ1位で獲得したのが小林誠司だった。当時、阿部慎之助(現二軍監督)が30代中盤に差しかかり、球団は後継者の獲得を急務としていた。

 小林は強肩とインサイドワークを持ち味とする一方、打撃に課題を抱えたままで、今季はほとんど出番を掴めていない。メインで使われているのは打撃を武器とする大城卓三だが、5月以降は守備型の炭谷銀仁朗が先発出場する機会も増えている。

 大城は打率.258(規定打席未満)、盗塁阻止率.423(リーグ1位)という成績を残している一方、たびたび指摘されるのがリード面の課題だ。谷繁氏の目には「ずる賢さが足りない」と映っている。

「ベンチから言われたことを素直にやっている感じがします。パターン化されている配球が多いから、相手に読まれる確率が高くなる。もっと"自分"を出していいと思います。

 ただし、キャッチャーはある程度、力をつけてベンチから信頼されないと、なかなかそこはできない部分でもある。僕もプロに入って最初の頃はそうでした」

 巨人はエース菅野智之が故障で離脱するなど、先発陣の駒が足りていない。そうした事情もあり、経験豊富な炭谷が先発出場する機会が増えているのだろう。

 ただし、炭谷の課題も打率.196の打撃だ。さらに33歳とベテランの域にあり、この点もベンチの起用法に影響すると谷繁氏は語る。

「炭谷があと何年レギュラーでできるかと言えば、そう長くはないと思います。全体の編成を考えると、チームが困った時に、ベテランの経験を活かしてくれる存在としていてくれたほうがいい。チームの将来を考えると、大城か岸田を"エースキャッチャー"にしていきたいところです」

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