バレンタインが変えたプロ野球。里崎智也が「新鮮」と感じた起用法とは (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Kyodo News

――メジャーリーグでは、セイバーメトリクス(データを統計学的な見地から科学的かつ合理的に分析する手法)に基づいて打順を決めるケースもありますね。

里崎 ボビーが取り入れていたかどうかはわかりませんが、個人的にあれは単なる"通信簿"だと思っています。「セイバーの指標で見ると実はいい選手。安く獲得できます」というように、チームに必要な選手を見つけるために活用できる部分はあるでしょう。それも、メジャーリーグのように多くの選手が毎年FAになって、マイナーリーグにも選手がいっぱいいる"市場"があってこそです。

 一方、日本はそんな大きな市場がないので、セイバーの指標を駆使しても選手を集められない。戦術面でもなかなかセイバーどおりにはいきません、例えば「バントをすると得点の確率が下がる」と言われることもありますが、ソフトバンクはバント数と得点数も多い。3年連続で日本一になっているチームのバント数がなぜ多いのか? 近年のパ・リーグでは、1番打者が無死で出塁した場合、2番打者が送りバントしたほうが、打たせるより得点確率が高いというデータもあります。

――ちなみに、バレンタイン監督は、コーチ陣を含めた人材活用術や人心掌握術にも長けていた印象があります。里崎さんは2007年(~2009年)にロッテのキャプテンに就任しましたが、バレンタイン監督からの指名ですか?

里崎 そうですね。当時、周囲の人に聞いた話では、「サトは影響が強すぎる」とボビーが言っていたみたいで。僕が好き勝手にやってボビーの考えと反対のことをやられたり、そっちにチームが引っ張られると困るから、しっかり手綱を引くために僕に"キャプテン"という肩書きをつけたんじゃないかと。本人に聞いたわけではないですが、個人的にはそう思っています。

――キャプテンになったあと、心境などに変化はありましたか?

里崎 振る舞いはその肩書きに合わせるところもありましたが、やることは特に何も変わらなかったです。「キャプテンだから何かをやらなきゃいけない」ということもないし、「キャプテンじゃないから何もしなくていい」というわけでもないので。当時のロッテには僕以外にも、直さん(清水直行)やサブローなど、リーダーシップを持った選手がたくさんいましたしね。

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