里崎智也が北京五輪でもWBCでもプレッシャーを感じなかった理由を明かす (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Kyodo News

――結果を残すためにプレッシャーをはねのける一番の方法は、技術を磨いて能力を高めること、ということでしょうか。

里崎 そうですね。先ほども言ったように、僕の考えでは、プレッシャーを感じるのは能力がないから。人間は結果や能力を問われないことと、自分ができるとわかっていることには絶対に緊張しません。だから緊張しやすい選手は、メンタルトレーニングをするんじゃなくて、ひたすら練習をしたほうが解決に向かうと思いますよ。

――里崎さんの理論をお聞きしていると、監督になったらどんなチームを作るのか興味深いです。監督業に興味はありますか?

里崎 監督は、生活リズムが想像しやすいというか、野球選手とだいたい同じような時間軸で過ごすので、新鮮味をあまり感じないんです。だから積極的にやりたいとは思わない。オファーがきたら、こちらの条件も出して、それを承諾してくれるならやるという感じでしょうか。

――どちらかというと、ビジネスなどのほうが興味がありますか?

里崎 ありますね。だって想像ができないじゃないですか。思っていたより難しかったり、「こんなことまでしなきゃいけないの?」ってこともあるだろうし。「これは大変やな」って思うことが多いほど面白そうですよね。

――今はプロ野球の解説やYouTuberとしての活動をはじめ、幅広いフィールドで活躍されています。毎日が想像できないという感じですか?

里崎 まさにそうです。初めて会う人も多いし、やったことない仕事もしますし、出会うはずがなかった人とも共演しますし。人生は1回きり。想像ができる人生を歩むことは、僕はもったいないと感じるんです。今45歳で、男性の平均寿命である80歳まで生きたとしても、あと35年しかありません。僕は最後まで好きなことをやって死にたいです。

■里崎智也(さとざき・ともや)
1976年5月20日生まれ、徳島県出身。鳴門工(現鳴門渦潮)、帝京大を経て1998年のドラフト2位でロッテに入団。正捕手として2005年のリーグ優勝と日本一、2010年の日本一に導いた。日本代表としても、2006年WBCの優勝に貢献し、2008年の北京五輪に出場。2014年に現役を引退したあとは、解説者のほか、2019年にはYouTubeチャンネルを開設するなど幅広く活躍している。

■里崎智也 YouTubeチャンネル
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