ヤクルト高津臣吾監督を八重樫幸雄が分析。「ノムさんを反面教師にしている」

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

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【「ナンバー2の男」だから、選手の気持ちを理解できる】

――さて、今回も現東京ヤクルトスワローズ監督・高津臣吾さんについて伺います。前回のラストで「臣吾は三原脩さんタイプの監督だ」とおっしゃっていました。そのあたりを伺いたいと思います。まずは、高津監督就任が決まった時、八重樫さんはどんな印象を持たれましたか?

八重樫 新聞で読んで知ったんだけど、最初に知らせを聞いた時は「臣吾ならいい監督になるだろうな」って思いましたね。その理由としては、彼のこれまでの経歴を振り返ってみると、広島工業高校時代も、亜細亜大学時代も、彼はエースピッチャーじゃなかったんですよ。後に抑え投手としてはナンバーワンになっているけど、プロでも当初はドラフト同期の岡林(洋一)の陰に隠れる形でしたから。

プロ初勝利を挙げた奥川恭伸(右)を祝福するヤクルト高津臣吾監督プロ初勝利を挙げた奥川恭伸(右)を祝福するヤクルト高津臣吾監督――ちなみに、高津さんは『ナンバー2の男』(ぴあ)という本を出版しています。

八重樫 えっ、そうなの。でも、「ナンバー2」というのは決して悪いことじゃないんですよ。というのも、エース投手には見えない視点を持つことができるから。臣吾の場合、上に立った経験もあるし、二番手として悔しい経験もしているから、レギュラー選手だけでなく、控え選手の気持ち、若手選手の心情も理解することができると思うんですよね。

――さらに、前回も話に出たように、さまざまな地域でプレーしている経験もありますね。

八重樫 アメリカでも、台湾でも、韓国でも、日本の独立リーグでも、いろいろなレベルの野球を見て、いろいろな環境でプレーしている経験は、誰もが持てるものじゃないですからね。彼の場合は引き出しも多いはずだから、監督として、最高の人選だと思いますよ。

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