カープ二軍監督が小園海斗にかけた言葉。「楽しんでやる意味」とは (2ページ目)

  • 永田遼太郎●取材・文 text by Ryotaro Nagata
  • photo by Kyodo News

―― 高校時代から定評があった小園選手の守備力。プロではどのような課題があったのでしょうか?

「技術レベルはプロ1年目から並ではなかった。だけどやっぱり気になったのは姿勢の部分。今年の初めに二人でこんな会話をしました。『僕はこれまで楽しんで野球をやってきたので』と彼が言うので、私も『大いに楽しんで結構だ。そこはわかる。ただ、プロは職業だから、成績も出していかないとご飯を食べていけない。笑顔でハツラツとプレーするのはもちろんいいことだけど、エラーや失敗をした後にヘラヘラしているのは楽しんでやる意味とは違うぞ』と。

 そんななか、守備は1年目と比べたら確実によくなってきましたし、何より体ができてきたので、送球の強さも感じます。あとは一軍で経験を積んで、修羅場をたくさん経験してくれたらと思っています」

―― 次に中村奨成選手ですが、一軍に昇格したその日(4月16日)にプロ入り初安打を打ちました。昇格するタイミングも絶妙だったと感じるのですが。

「僕らが重視するのは二軍の数字(成績)よりもその内容ですよね。ボテボテのヒットやどん詰まりのポテンヒットと、自分のスイングができたけど、たまたま野手の正面をついた打球。そのどちらを評価するのかと言ったら後者です。一概に3割を打てているから一軍に推薦するという話ではなく、あくまで内容。中村奨成の場合もいい内容の打席が多かったので、一軍に推薦しました」

―― 一軍で結果が出ていない選手を我慢して使い続けるところと、二軍で調子のいい選手を引き上げるタイミング。その見極めの難しさがあると思うのですが、昨年まで一軍ヘッドを務めてきた経験からどのようなことを考えていますか?

「一軍の目的は何よりも試合に勝つこと。なので、調子が上がらない選手を使い続けるというのはやっぱり難しいところがあります。代わりになる選手がいなければ、また別なんでしょうけど、今年みたいに代わりとなるメンバーがどんどん二軍から輩出できる状況なら、より調子のいいメンバーを使うのが必要になってくると思います。その辺は佐々岡監督をはじめ河田ヘッドもよく考えて、決断していると思います」

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