カープ二軍監督が小園海斗にかけた言葉。「楽しんでやる意味」とは

  • 永田遼太郎●取材・文 text by Ryotaro Nagata
  • photo by Kyodo News

広島東洋カープ
高信二二軍監督インタビュー 前編

 昨シーズンまで5年にわたって一軍ヘッドコーチを経験し、今季から二軍監督を務める高信二氏。2016〜18年のカープ3連覇を支えた高二軍監督は、現在のカープをどう見るのか? 前編では、4月に一軍昇格を果たした小園海斗や中村奨成をはじめ、ファームで奮闘する若手野手の現状について語ってもらった。

一軍昇格後、上々の活躍を見せる小園海斗一軍昇格後、上々の活躍を見せる小園海斗
―― 選手時代も含めカープ在籍36年目のシーズンになります。現在のカープを見て、どのような時期に差しかかっていると感じていますか?

「2016年からカープは3連覇を果たし、昨年と一昨年はリーグ優勝を逃しました。その要因のひとつに、3連覇を支えたリリーフ陣に疲れが出てしまったところがあったのかなと。今年はドラフトで新人3人(栗林良吏、森浦大輔、大道温貴)が一軍で活躍してくれて、チーム防御率も昨年と比べて格段にいい(2020年の4.06から2021年は5月9日現在3.42)。現在は打線が噛み合わず点が取れない試合が続いていますが、羽月隆太郎や小園海斗といった機動力を使える若手も一軍で出場しているので、これから面白い野球が見せられるんじゃないかと期待しています」

―― 今、お話に出た小園選手ですが、4月22日の一軍昇格後は上々の結果を残しています。2月の二軍キャンプスタート以降、小園選手にはどんな言葉をかけましたか?

「昨年の秋季キャンプでの評価が今ひとつで、佐々岡(真司)監督も『もう一度、下からはい上がってこい』と。春季キャンプに入る前に彼を二軍の監督室に呼んで、私のほうからもハッキリと言いました。『野球の取り組み方からもう1回考え直していこう』『ガムシャラにやっていこう』と。そこからも数回、彼を叱咤激励しました。彼もそれに応えて、ファームでしっかり結果を出してくれた。だから、満を持して一軍の河田(雄祐)ヘッドコーチに『自信をもっておくり出せますよ』と伝えて、一軍昇格の形になりました」

―― 春季キャンプから一軍昇格まで約2ヵ月半。小園選手のどのあたりに変化を感じましたか?

「正直、気分が乗っていないように見える日がありました。キャンプの守備練習でエラーが多いと感じた時は私が自らノックを打つこともありましたし、ファームの開幕直前にも試合の序盤でエラーをして、その後の打席で精彩を欠く日があった。その時も『試合に出ている選手なんだからそういう姿勢を見せたらダメだ』ということを伝えました。そこからは気持ちの面でも吹っ切れたのか、積極的に取り組むようになりましたね」

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