2021.05.01

「夢のジャイアンツ首脳陣」を徳光和夫が編成。最初に決めたのはOB以外の人物

  • 菊地高弘●取材・文 text by Kikuchi Takahiro

●作戦コーチ
武上四郎(元ヤクルト)

 2002年に亡くなられた武上さんは巨人OBではありませんが、長嶋二次政権を支えた名コーチでした。

「ケンカ四郎」の異名を持つほど熱い人物で知られましたが、実は中央大学法学部出身の緻密な頭脳の持ち主でもあります。大胆にして細心。その手腕をヤクルトや巨人で発揮しました。

 権力者に媚びず、上層部に対して理論武装して物を申す人でした。実はこの企画を考えた時に、監督、ヘッドコーチより先に「作戦コーチは武上さんにしよう」とお名前が浮かびました。

 彼が進言すれば、ONだろうとNOとは言えない。それくらい、説得力のある理論派の作戦コーチです。

●野手総合コーチ

清原和博(元巨人ほか)
篠塚和典(元巨人)

 清原さんは「日本プロ野球史上、最高の右打ちの技術を持った打者だ」と長嶋さんが評価していました。センターからライト方向に放り込める高度な技術を現役選手に伝授してもらいたい。とくに抜群の潜在能力を持つ廣岡大志選手を清原コーチが指導したら、才能が開花するのではないでしょうか。

 選手時代は「番長」と呼ばれていましたが、指導者としては持ち前の熱さや面倒見のよさがいい方向に出ると思います。若手選手が活躍したら高級時計をポンと振る舞うような、いい兄貴分になってくれるイメージが湧きます。

 右打者を清原さんが教え、左打者を教えるのは篠塚さん。今のプロ野球界は左打者が多いですし、現役時代の篠塚さんのように三振をせず、ボールを引きつけて左中間に打てる打者が必要だと感じます。

 篠塚さんは「バットが届くところがストライク」という理論の持ち主です。狙い球を絞り過ぎるとバットが出てこないそうですが、篠塚さんは常に「バットは出すもの」という考えでした。ボール球でも、巧みなバットコントロールでヒットゾーンへと運ぶ技術を今のジャイアンツの選手たちに教えてもらいたいです。とくに、松原聖弥選手、若林晃弘選手は、篠塚さんから直接教わって、"第二の篠塚"を目指してほしいですね。

 また、篠塚さんは卓越した走塁技術も持っていました。守備についても、ジャイアンツの歴代セカンドのナンバーワンだと思っています。打者が打った瞬間にボールに向けて動く、フィールディングのセンスが抜群でした。そういった面から、守備・走塁、そして左打者への指導には、篠塚さんがベストだろうと考えました。