日本の各球団が外国人選手を育成枠で獲得。先駆者・森繁和がその意図やからくりを語る (4ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Sankei Visual

「ファームで2、3年使っていれば、言葉だって覚える。日本人のキャッチャーが8番を打つよりはるかにホームランは多いし、打点を稼げるなら、多少守りに目をつぶってもいいと思う。セ・リーグなんて8番のキャッチャーが打てなかったら、9番までに2アウトをとられたようなものじゃない? だったら打てるキャッチャーを獲ってきて、5、6番に置いてもいい。オレの監督としての任期はそれをやる前に終わっちゃったけど、そうやって使えることがあるとわかっただけでもよかったと思うよ」

 日本にチャンスを求めて異国から来る育成選手たちには、それぞれのストーリーがある。

 ソフトバンクが新たに獲得した右腕投手のアンディ・ロドリゲスは、2019年のプレミア12にキューバ代表として出場した有望株だ。楽天で2年目を迎える左腕投手の王彦程(ワン・イェンチェン)は、2019年のU18W杯でチャイニーズタイペイ代表として日本代表を封じ込めている。中日が獲得したルーク・ワカマツは2009年からマリナーズを2年間率いたドン・ワカマツの息子で、直々の推薦を受けて入団に至った。カープアカデミー出身のロベルト・コルニエルは今季開幕直前に6年契約を結ぶと、一軍で剛腕ぶりを発揮している。

 育成選手として来日した13選手はまだ無名だが、いずれも秘めた力を見込まれた者たちだ。遠くない将来、ライデル・マルティネスやモイネロのようにチームに不可欠な"助っ人"になっているかもしれない。

(おわり)

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