2016年ドラフト「高校BIG4」の今。同期の山本由伸、早川隆久には負けられない

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

 2016年のドラフト会議は、「高校BIG4」と呼ばれた4人の投手が注目された。

 夏の甲子園優勝投手になった今井達也(作新学院)、完成度が高く「即戦力」との声もあがった寺島成輝(履正社)、類まれなポテンシャルを評価された藤平尚真(横浜)、馬力のある左腕として急成長を遂げた高橋昂也(花咲徳栄)。

 4人ともドラフト上位指名を受けてプロ入りしたものの、現段階では前評判に見合った活躍をしているとは言いがたい。同期生の出世頭には、ドラフト4位入団ながら今や球界を代表する実力者になった山本由伸(都城→オリックス)がいる。

高校BIG4と呼ばれた(写真左上から時計回りに)高橋昂也、今井達也、寺島成輝、藤平尚真高校BIG4と呼ばれた(写真左上から時計回りに)高橋昂也、今井達也、寺島成輝、藤平尚真 ドラフトから4年以上の時が経ち、早稲田大で腕を磨いた早川隆久が4球団競合1位指名の末に楽天に入団した。早川は高校3年時に侍ジャパンU-18代表に招集され、BIG4を含めた投手陣のレベルの高さに「自分には武器がない」と悟り、大学進学の道を選んだ。高校時点でいかにBIG4の才能が輝いていたかが伝わるだろう。

 ちなみに、早川のプロ入りで当時のU-18代表に選ばれた投手8名は全員プロ入りを果たしている(ほかには堀瑞輝/広島新庄→日本ハム、藤嶋健人/東邦→中日、島孝明/東海大市原望洋→元ロッテ)。当時は作新学院の一塁手だった入江大生まで、明治大を経由して投手としてドラフト1位でDeNAに入団した。

 そんなレベルの高い世代を牽引したBIG4は、現在どんな状況にいるのだろうか。

 今井達也は遅れてきた大物だった。なにしろ高校3年春の県大会は未登板で、ドラフト候補にすら挙がっていなかった。夏の栃木大会で台頭してから、スカウト陣の評価はうなぎ登り。当時、ある球団スカウトは「栃木大会でB、甲子園でAと見るたびに評価が上がっている」と明かしていた。

 今井のスピンの効いた快速球と左打者のインコースに食い込んでいくカットボールのようなスライダーは、甲子園で猛威をふるった。作新学院を54年ぶりの全国制覇へと導く頃には、今井を含めた「高校BIG4」の名称がすっかり定着していた。

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る