ライオンズ高橋光成、エースになるための模索。動作解析で何を手に入れた? (4ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 ストレートの球速が最速154キロに届かなくても、190cmの長身という武器がある。角度ある140キロ台後半の速球を内外角に制球よく投げ込めれば、打者にとって打ち返すのは容易ではない。ストレートが決まれば、140キロ台前半のフォークも生きてくる。

 今、自分にできる最高のピッチングで高橋は結果を残しつつ、先の目標も見据えている。球速160キロだ。

「球速が上がれば上がるほど、空振り率が上がるというデータがあります。課題は伸びしろですし、自分はまだまだ変われると信じてやっています」

 闇雲に理想を描くのではなく、自身の現在地を知り、根拠を持って飛躍につなげる。近年、高橋を押し上げている要因だ。プロで年数を重ねながら、少しずつ自信を積み重ね、内面的にも変化が出てきた。

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「今も言葉に出すことは苦手ですけど、少しずつ言語化できるようになってきました。自分で勉強して、知識も少しずつ増えて、それがどんどんいい方向に行っています。もっとよくなるためにはどうしたらいいのか。そういう意味で、前向きになりましたね」

 そう言うと、マウンドで見せるのと同じように屈託ない笑みをこぼした。チームの柱として期待される24歳は、成長の原動力をこう語る。

「子どもの頃より今のほうが好きかもしれないです。野球、大好きです」

 純真さと貪欲さを原動力に、とにかくピッチングを突き詰める。菊池が退団してから空位だった西武のエースというポジションに、憧れの先輩と同じような気質を持つ高橋は、着実に近づいている。

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