パフォーマンスにギャラードが激怒。それでもラミレスは「アイーン」を続けた (3ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

【大差で負けている場面でパフォーマンスをしてもいいものか?】

「来日直後は完全にアメリカのメンタリティーだったので、ホームランを打っても、相手に対するリスペクトを忘れずにパフォーマンスは絶対にダメだと思っていました。でも、次第に日本ではそれは問題ではないのだと気づきました。一度、大差で負けている時にホームランを打ったことがあります。『こんな大差の状況でパフォーマンスをしてもいいのかな?』と、すごく迷いました......」

 この時、ラミレス氏はヤクルト時代のチームメイト、宮本慎也氏に「大差で負けている状況ではパフォーマンスをしないほうがいいですか?」と相談したという。

「そうしたら、宮本さんに『スコアなんか関係ない。子どもたちが待っているんだから、ファンのためにもやりなよ』と言われました。その考えはジャイアンツでも変わりませんでしたね。でも、ジャイアンツ移籍当初は、やっぱり迷いましたよ。大差で負けている試合で、ネクスト・バッターズ・サークルで準備をしている時には、『こんなに負けていて、もしホームランを打ったら、パフォーマンスをやるべきなのかな? 打ちたくないな』と考えていました(笑)」

 ヤクルト時代は「自分で考えてパフォーマンスを行なっていた」というラミレス氏。しかし、移籍後の巨人時代は「球団と一緒にパフォーマンスを行なっていた」という。

「ジャイアンツではよりプロフェッショナルになっていました。たとえば、球団主導でパフォーマンスを公募したり、ファン投票でどれが一番いいかを選んでもらったり、公開発表のために念入りにリハーサルしたり、より本格的になっていきましたね(笑)。やっぱり、ナンバーワンチームとしてのプライドを感じました」

 通算13年間も日本でプレーを続け、その間ずっと独自のパフォーマンスを披露してきたラミレス氏。こうした中で、さまざまなバリエーションが生まれた。では、実際にどのような思いで、それぞれのパフォーマンスを披露してきたのか、次回後編でさらに詳しく解説する。

(後編につづく)

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