パフォーマンスにギャラードが激怒。それでもラミレスは「アイーン」を続けた

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

ラミレスが語る野球人気とパフォーマンス 前編

【野球人口減少について、ラミレス氏が思うこと】

 野球人口の減少、野球人気の低迷、野球ファンの高齢化......。近年、野球を取り巻く否定的な報道は多い。昨年まで横浜DeNAベイスターズの監督を務めていたアレックス・ラミレス氏も、こうした状況に危機感を抱いている。

「ひと昔前までは、スタジアムに来る子どもの割合も高かったと思います。でも、最近は大人の姿は目立つけれど、子どもの姿は減っているように感じます。同様に、以前は家の前や公園などでキャッチボールをする子どもたちの姿を見かけたけど、最近はまったく見なくなりました。それがどうしてなのかは僕にはわからないけど、公園でのボール遊びが禁止されたり、子どもたちが野球に触れる機会は減っているのかなという気がします」

DeNA入団時の今永昇太と一緒に「アイーン」のポーズをとるラミレス監督(当時)DeNA入団時の今永昇太と一緒に「アイーン」のポーズをとるラミレス監督(当時) このような現状に対して、DeNAは積極的に「野球人気回復策」を講じてきた。神奈川県内の園児、小学生にベイスターズのキャップをプレゼントしたり、グラブとボールを貸し出し、キャッチボールイベントを行なったりするなど、さまざまな施策に取り組んできた。

「ベイスターズという球団は、『いかに子どもたちに楽しんでもらうか』ということを熱心に取り組んでいました。私自身も、積極的にそうしたイベントに関わるようにしてきました。だけど、日本においては中学、高校の部活では坊主頭にしなければいけなかったり、上下関係が厳しかったり、まだまだ"エンジョイ"という言葉が似合わない雰囲気を感じます。サッカーやバスケには"エンジョイ"という感覚がよく似合うのに、学生野球にその精神がないことは残念です」

 球団が積極的にイベントに取り組んで、ファン獲得を目指している一方、選手たちはもちろんプロならではの高い技術と全力プレーでファンを魅了することが求められている。しかし、「それ以外にもできることがある」とラミレス氏は言う。

「選手たちが全力プレーをするというのは当然のことです。野球への情熱をグラウンドで表現するのも大切。でも、それ以外に、その選手ならではのパフォーマンスも重要な要素だと私は思います」

 現役時代、「アイーン」「ゲッツ!」「ラミちゃん、ペッ」など、ホームランを放った際に、さまざまなパフォーマンスを行なっていたラミレス氏ならではの提言だった。

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