田中将大は「ハリネズミ」。楽天・石井一久監督がGMとの違い、チームづくりを語る (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sankei Visual

── GMを兼務しながらの監督業ということは、もともとこのチームが掲げていた『常勝』『骨太』のチームをつくるというGMの役割を担いながら、監督として今年、勝負をかけることも必要になってきます。近未来と今年の両方を考えた時、矛盾するところにぶつかったりはしませんか。

「中・長期的に強いチームをつくるというミッションを僕の身体の半分として、3年、4年、5年先へとチームの遺伝子を受け継がせていかなければならないと思っています。同時にユニフォームを着ている以上、今年の優勝は逃したくない。となると、優勝イコールいろんな思いを経験できる、と考えればいいんですよね。勝った経験を中・長期的な強さにつなげればいいとなればシンプルです。短期的な強さ、イコール中長期的な強さ。そうすれば両立できます」

── 監督の考える『常勝』『骨太』というのは何を備えているチームを指すんでしょう。

「それはいろんな引き出しです。負けが込んでくると歯止めが利かずにズルズルいってしまうところを、なにかしらのストッパーを噛ませればこのチームはもう一度、上昇気流に乗っていける。そのストッパーが何なのか、わかっているチーム。ここで止めなければならないという勝負のあやが浸透しているチームは、骨太になると思います」

── 勝負のあやというのは?

「点が取れる時はどうやって勝っていくのか、点が取れない時にはどうやって勝っていくのか。いろんな引き出しを持っておく。そのためには、ただ単に打つ、投げるではなく、瞬発的な判断能力を大事にするマインドが必要になってきます。

 野球の試合って、フィールド上で動くボールは1つじゃないですか。ということは、ボールに触っているのはひとりなんですよね。ショートゴロなら、まずはショートがしっかりと判断する。ランナーが一塁にいたら、この打球はダブルプレーが取れるのか、ファーストで刺すべきなのか。そういう場面ごとの個人的な判断がしっかりとできる選手になってほしい。2塁から3塁を回ってホームに還るかどうかという時も、ランナーコーチャーだけに頼らず、自分なりの判断力を持てる選手になってほしい。そういう選手がひとりでも増えてくれれば、チームは骨太になると思っているんです」

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