斎藤隆が佐々木朗希と奥川恭伸を分析。「左足の使い方が天才」「なんだ、その能力は!」

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

「あんなにリラックスして投げて、球に角度もキレもある。一級品ですね。まだまだ体の線も細いし、順調に、慎重にやっているんだろうなというのは見えます。来年、再来年くらいに、体力的に落ちることなく先発ローテーションで回っていけば、ロッテは順調に育成したんだなとわかります」

 中日戦で見せた投球フォームは、高校時代のような荒々しさを潜め、テイクバックが「山本由伸(オリックス)みたいになった」という声も聞こえた。斎藤氏の目にはどう映ったのだろうか。

「今のところ、欠点らしい欠点は全然見えないですね。(腕が中に)入りすぎと言う人もいるかもしれないけど、それも特徴のひとつです。杓子定規で型にはめる必要はありません。

 むしろ山本みたいに個性のあるほうが、僕は好きですね。できるなら、投げている影だけを見ても『あっ、佐々木だ』とわかるくらい、どこかに特徴を持たせてほしい」

 佐々木の非凡さは、192センチの長身を活かして力を生み出している点にある。188センチの斎藤氏が感嘆の声を挙げるほどだ。

「あんなに体が大きいのに、あまりにもバランスがよく、(上半身と下半身でリリースを合わせる)タイミングもうまい。190センチを超えたピッチャーにあれをやられると『すげえ』しか出てこないし、『なんだ、その運動能力は!』と思わされます。

 僕らの時代の180センチ台後半や190センチくらいのピッチャーは、手足が長くて邪魔で、フォームのどこかが変速だったりしました。大谷翔平(エンゼルス)もそうですが、最近の大きい選手は体の使い方が本当にうまい」

 タイプ的に佐々木のベンチマークとなるのが、193センチの大谷だ。ただし、大谷が二刀流であることを考慮すると、佐々木にはもっと高いレベルが求められると斎藤氏は言う。

「佐々木は投手に専念してトレーニングできるから、投げて打っての大谷とは違います。大谷は最低ラインというか、超えていってほしい。順調に行けば、4、5年後の佐々木は手をつけられないピッチャーになっていると思います」

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