斎藤隆が佐々木朗希と奥川恭伸を分析。「左足の使い方が天才」「なんだ、その能力は!」 (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 最速154キロ、キレのあるスライダーやフォークを武器とする奥川のポテンシャルに、疑問の余地はない。斎藤氏も太鼓判を押す。

「奥川の左足の使い方は天才的です。左足を上げて、ひざ下をパッと出す。ビューンってエンジンをかける感じというか、加速する。田中将大(楽天)もそういう使い方をしますが、"普通の投手"ではないですね。下半身と上半身のリリースがパチンと合い、力感ないフォームから強い球が行く。能力は高いですよ。今はコントロールがばらついていますけど、これからよくなるはずです」

 今年のオープン戦では波があったものの、3月21日の西武戦で5回途中3失点という内容を高津監督は評価し、開幕3戦目の阪神戦で先発させることを明言した。奥川が飛躍のきっかけを掴むうえで、今後の起用法がカギになると斎藤氏は見ている。

「どこまで目をつぶり、起用に幅を持たせるか。ある程度決めておく必要があります。ボコボコに打たれているのに野ざらしにすることはできないし、抑えているのに球数が来たから代えるのも成長の芽を摘むことになりかねない。

 そのあたりの使い方は何年先を見据えるかによりますし、高津監督が頭を悩ませるところだと思います。チームとして今年勝負をかけなければいけなくなると、調子がいい時は引っ張り、悪かったらパンと切らなくてはいけなくなる。そこは球団としてコミュニケーションが大事です」

 ドラフト時から「完成度が高い」と言われた奥川だけに、大切なのは球団としてのビジョンだ。順調に育てることができれば、球史に名が刻まれるほどのポテンシャルを秘めていると斎藤氏は言う。

「能力としては、田中将大に匹敵するものを感じます。ただし、田中のような強さがあるのか。そこはまだ誰にもわからない部分です」

 一方、プロ1年目に一度も実戦で投げなかった佐々木は、3月12日のオープン戦でベールを脱いだ。わずか1イニングの登板だったが、速球主体で中日の京田陽太、阿部寿樹、ビシエドを三者凡退に抑えている。斎藤氏はあらためて、逸材の印象を強めたと振り返る。

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