田中将大に違和感あり。斎藤隆「大変な作業を各回、各打者にやっている」 (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 2013年に"無傷の24連勝"という伝説を作った田中は強い速球で押し、制球力も兼ね備える完璧な投手だった。翌年からニューヨーク・ヤンキースに移籍し、日本にいた頃とスタイルチェンジを果たした姿について、斎藤氏が続ける。

「ツーシーム系とか小さく変化する球を覚えたのと、時折、日本で見ている時よりひじが低いな、という試合が何回かありました。田中は絶対『痛い』と言わないけど、投げ続けるなかで体のメンテナンスも苦労したのではと思います」

 日米でそれぞれ7年プレーし、32歳で迎える今季。斎藤氏が注目しているのは、田中がどのスタイルで投げるのかだ。

「日本ではバリバリの速球投手だったのが、メジャーで少し変化球投手のようになって勝ち続けました。32歳は、ピッチャーの一般論で言えばスタイルを変えてもいい年齢です。

 田中の場合、どっちのスタイルもできるので、どうするのか。最初に決めたスタイルで1年間行くのか、オリンピックの中断期間もあるから、後半は少し違う形にすることもできます」

 田中が渡米後にスタイルを変えた裏には、日米の異なる環境がある。メジャーのマウンドは固く、それに比べて日本は柔らかい。斎藤氏は自身も両国で投げた経験から、投手に求められる"適応"について説明する。

「アメリカは前足をパッと踏み込んだら、マウンドが固いからそこから足が動かない。だから前に入り過ぎてもダメだし、踏み込んだ時に体が開くと力が入りません。パッって入り込むタイミングと、踏み出す向きが重要です。

 一方、日本のマウンドは固さがないので、投げに行く時に体が一緒にぶれてしまう。極端に言うと、下半身をギュッと締める動作が必要です。そして、上半身でボールを離すタイミングを合わせていかないといけない。これがなかなか合わないんです」

 メジャーで7年間プレーしたあとに楽天へ移籍した斎藤氏は、日本の柔らかいマウンドに適応するのに1シーズンを要したという。

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