松井秀喜も高卒2年目にブレイクした。オリックスの和製大砲への期待 (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Koike Yoshihiro

 オフになったら自分のバッティングを見直さなきゃと思ったんです。もともと僕の長所は長打を打てるところだったのに、なぜプロでは大きな当たりを打てなかったのか......思い当たったのは、打球にいい角度がついていなかったなということでした。だったらバッティングフォームを変えてみようと思って、このオフはずっと打球が上がるようにいろんな形の試行錯誤を続けてきました」

 あれこれ試した結果、紅林がイメージしたのは、同じ背番号24をつけた憧れのメジャーリーガーの迫力あるバッティングフォームだった。

「完成形はミゲール・カブレラ(デトロイト・タイガースの右バッターで2012年にはMLBの現役で唯一の三冠王を達成)です。ああいう力感で打球を飛ばせるフォームをイメージしました。見た目、ヒジが上がっているところが目立ちますけど、ヒジを上げるというより、打ちにいく時に右ヒジをグッと締めるための距離を取ろうとすると、結果的に右ヒジが上がった形になるんです。バットを出す時に右ヒジを右の脇にぶつける感じで締める、その力を最大にするためには距離があったほうがいいし、その距離が長ければ長いほどバットのヘッドが走ります。そのためにああいう構えになりました」

 右ヒジを高々と上げる"フライング・エルボー"は、紅林に本来の飛距離を取り戻させた。ショートでの開幕スタメンを目指して2月に打ちまくった紅林に対し、ショートの名手、安達了一が3月5日、新型コロナウイルスのPCR検査で陽性判定を受ける。3月16日には2軍の練習に合流したものの、10日間の隔離期間を過ごすなど出遅れは否めず、開幕出場は絶望的となってしまった。

 そんな状況下、もし開幕戦で19歳の紅林がスターティングラインアップにショートとしてその名を連ねれば、1956年に河野旭輝(あきてる)が21歳で開幕ショートを守った記録を上回る、史上最年少の球団記録となる。紅林はこうも言った。

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