2021.03.19

ロッテ佐々木朗希が1軍で投げられる条件。井口資仁監督が明かす優勝への手応え

  • 永田遼太郎●文 text by Ryotaro Nagata
  • photo by Sankei Visual

── 井口監督の新著『もう下克上とは言わせない ~勝利へ導くチーム改革~』の中で、「黄金時代」という言葉がたびたび出てきます。

「監督をやるからには、常に優勝争いができるチームを目指したい。その目標に向けてチームづくりを進めてきました。若手をどんどん使い、起用された選手たちも期待に応えてくれています。若手の台頭に押されて、中堅、ベテランの中で、(開幕の)登録選手から漏れてしまう選手も出てくるでしょう。そんな監督として"うれしい"悩みも、過去3年間ではなかった経験。改めてチーム層が厚くなったなと感じているところではあります」

── 2010年の日本一以降、ポストシーズンではソフトバンクに1試合も勝てていません。それも踏まえての井口監督のチームづくりかなと感じているのですが。

「ソフトバンクは戦力が充実していて、非常に選手層が厚い。昨年のウチは、レギュラーシーズンで一度は追いつきながら、結果的に離されてしまった。それはやっぱり、チーム力、経験値の差かなと感じていますが、ウチの選手達に『ソフトバンクと同じことをやれ』と言っても(現時点では)無理なので......。

 ただ、一昨年はCSの進出争いで負けて4位という結果でしたけど、昨年は優勝争いとCS争いの両方を経験して、最後は踏ん張ってCSにたどり着けました。その分、選手の経験値もしっかり積み重なっていると思いますし、大きなプレッシャーの中でプレーできたことは、選手の成長に直結すると考えています。そういう意味で、僕自身、今年は楽しみなシーズンではありますが、今のチームに2010年の日本一を経験している選手がほとんどいないのも事実。選手に変なプレッシャーを与えないよう、伸び伸びとやらせたいとも思っています」

── 昨年、一昨年と、ソフトバンクは日本シリーズでも巨人を圧倒して、日本一になっています。黄金時代を築くチームはいつの時代も‶短期決戦で負けないチーム″だったように感じるのですが、井口監督はどのように感じていますか?

「日替わりでヒーローが出てきたり、大舞台でいつも以上の力を発揮する選手がいたり、日本一になるチームには、必ずそうした選手が出てきますよね。そういう選手を育てていきたいとは思っています。ただ、その前に意識すべきなのは、つまらないミスをなくすとか、相手にスキを見せないことですね。これはシーズンの戦いにも言えますが、当たり前のことがしっかりとできれば、大舞台でも動じずに勝てるチームになるんじゃないかと。その点、昨年は一昨年に比べて失策数が減りましたし、今季も開幕に向けて守備からしっかり鍛えてきました。あとは......打線が機能すれば勝てるんじゃないですかね(笑)」

── 昨年、失策数53とリーグ最少だった守備からリズムをつくっていくと。それが井口監督が目指す「1点」にこだわる野球につながるわけですね。

「打撃に関しては、"チームで戦っている意識"を大事にして、凡打であっても、1つのアウトでランナーを一歩先に進める。そんな野球を、選手とスタッフが一丸となって目指していきたいですね。ソフトバンクはかなり手強いですが、今年も勝たれては面白くないので(笑)。ロッテの『勝つ野球』を見せたいと思っています」

── 井口監督が監督に就任する前のマリーンズは、「チームで1点をつかみ取る」というメンタリティーを持った選手が少なかったと感じていますか?

「全員が同じ方向に向いていなかったのかなと、現役時代は感じていました」

── 全員が同じ方向を向いていなかった?

「はい。CSに進出できればいい。いわゆる『下克上』でいいと思っている選手も、何人か目につきましたし、僕はそういうのは『戦っている以上ありえない』と思っていました。そのとき本人には言いましたけど、やっぱり『優勝』をしないと、なんの価値もないので。そこを目指す集団になっていけるように、選手には徹底して言っていますし、なんとか戦う集団に変えたいと思いながら監督としてやってきました。今は選手も同じ意識を持っているんじゃないかと思います」