「自分のプロ野球人生がダメになる」。安田尚憲は柳田悠岐に頭を下げた (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

「甘いストレートや、捕らえるべきボールを捕えきれていなかったことも多くあると思います。速いストレートを弾き返すことができず、ファウル、ファウルになって追い込まれ、三振や凡打というパターンが多くありました。今年は初球のストライクや、1ストライクからカウントを取りにきたボールをしっかり弾き返せるようにしないとダメだと思っています」

 なかなか打率が上がらずに結果をほしがり、ヒットを打ちにいくあまりスイングが小さくなった。だが、それでは自分の魅力が消えてしまう。

 そこで安田はシーズン終了後、殻を破るべく行動に出た。昨年97試合でサードを守るなか、「一番すごいと思った左バッター」の柳田悠岐(ソフトバンク)に自主トレを申し込んだのだ。

「柳田さんは規格外です。日本一の選手の下で、何か吸収できることがあるのではとお願いしました。柳田さんから言われたのは、『バッティング練習でも試合でも、できるだけフライを打て』ということです。体全体を使って、バットを内側からしっかり出していくことを教えてもらいました」

 どうすれば柳田のように力強いスイングを繰り返し、長打になるような強い打球を打てるか。ちょうど安田と同じ188cmの柳田は、体を大きく使い、バットを内側から出しながら、ボールに入射角をつけて遠くに飛ばしている。

 対して安田は昨季、トップを早くつくることを意識したものの、「それだけではダメ」と気づいた。今年は「ホームランを打てる準備」として、強いスイングを心がけつつ、打球に角度をつけられる打ち方を模索している。

 具体的には、下半身主導で全身から力をつくり出し、ボールにパワーを伝えていくイメージだ。春季キャンプで臨時コーチを務めた松中信彦氏に師事し、何度もバットを振った。昨年と比べてトップを高くとり、右足を大きく上げて力を生み出そうとしている。練習試合では思うような結果が出なかったが、スイングに力が増した実感はある。

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