「壊れちゃうんじゃないか」。日本ハム・栗山英樹監督が何度も見た清宮幸太郎の涙 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Ichikawa Mitsuharu(Hikaru Studio)

── 監督1年目の2012年にリーグ優勝を果たして、その年の日本シリーズでジャイアンツに敗北。そこからいろんなことを積み重ねて、4年目の2016年、カープを倒して日本一を勝ち取りました。その直後、「このチームをぶっ壊す」と宣言しての再構築。そこからの4年目が昨年でしたが、結果は5位。優勝したホークスには20ゲーム差をつけられました。

「去年に関してはウチの形がつくれませんでした。ウチの場合はブルペンがしっかりしないとチームを落ち着かせることができません。ブルペンにケガ人が続出して、宮西(尚生)ひとりに頼らざるを得ない状況は苦しかった。いくつか、落としたことが痛かった試合はありましたが、ブルペンがしっかりしていればよくない流れを早めに止めることができるんです。

 それが、相手に負けるよりも前に自分たちから負けてしまう試合が多かった。選手たちもどうやらそれはわかっているようで、伝え聞こえてくるのは、『自分たちから崩れて負けるパターンって、今まではウチが相手をそういうふうに追い込んでいたはずなのに、今は逆になってるよ』という声。つまり選手たちはどうしなくちゃいけないかをわかっていて、なんとかしようと思って戦っていたことは間違いありません。その先はこっちの問題なんでね」

── では、この4年間というスパンで考えると、監督の誤算はどこにあったのでしょう。

「誤算というか、反省すべきは、軸になる選手をつくり切れていないということです。チームにはでっかい木の幹が必要で、そのためにはやっぱり長打が必要なんですよね。タイシ(大田泰示)にしてもナベ(渡邉諒)にしても、数字は残ったけど、彼らが持っている長打力をまだ完全には引っ張り出せていない。その次の世代についても同じです」

── 去年も4番は中田翔選手でした。

「(中田)翔にしても、去年から4番にはこだわっていません。勝つ確率が高くなるなら、翔は1番でも2番でもオッケーだと考えています。10年前は、チームの幹をつくるために翔を4番に据えて、4番とは何かを体感させてきました。そこで彼が結果を残してきた以上、もう翔の打席数をいかに勝利に結びつけるかということを考えていい段階だと思っています。とすると、次は誰をチームの幹に据えるのか。去年はタイシを4番にしてもよかったんだけど、でも数字的に翔だった。タイシはまだ翔を越えていませんからね」

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